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ツナグ働き方研究所

【多様な働き方を研究するコラム】就活6月解禁に思う

■やはり形骸化した就活の「指針」

先月、「就活の6月選考解禁へ」というニュースが一斉に報じられました。今年から導入したルールを早くも1年で見直す異例の事態とも言えます。混乱を招いた張本人の経団連は各所で糾弾されていますが、イケてない制度をしがらみやメンツで継続することに比べたら、唯一今回の判断自体は 評価されてしかるべきかもしれません。


いずれにせよ、それほど今年導入された8月解禁はイケてませんでした。そもそも就活を遅らす決定をした経団連などに参加している企業は1300社ほど。日本には大企業が1万2000社あると言われていますし、外資系企業などはまったく意にも介さずバンバン内定出すわけですし。加えていうと、経団連の就活時期に関する採用活動方針はあくまで「指針」であって罰則はないわけで、経団連企業でさえ、内々定や内々々定という茶番劇が水面下で繰り広げられていました。


思わず、自分が就活した27年前を思い出しました。バブル期の当時も水面下の活動がめちゃめちゃさかんでした。人事との接触とみられないためのカモフラージュとして、人事課社員に新規事業開発室の名刺を持たせ、スーツでなく私服を着せて学生に接触してくる企業があって。我々学生は、薄々人事課の人と察しながらも、ニューマーケット座談会なる催しに足を運んで内定をもらいました。堀江貴文氏がネットで「まだこんなこと議論してんのか笑」とバッサリ切ってましたが、確かにわが国では何十年も同じことやってるんですね。


ただし、これだけ形骸化しても、この新卒一括採用には大きなプラス面もあるから厄介です。学生・企業双方の就職・採用コストを下げる経済合理的な仕組みであり、なんといっても若年層の失業率を下げ、正社員率を上げている効能が大です。一括採用がない諸外国の大学生たちの窮状に目を向けると、例えば2013年の若年層失業率は、アメリカ15.5%、イギリス20.9%、フランス23.9%に対し、日本は6.9%。若年正規雇用自体が狭き門となっている諸外国に比べ圧倒的に高い日本の若年就業率を、このシステムが下支えしているのは明白です。


■微妙な変更に微妙な評価

では改めて、この2か月前倒しに対する反応ですが、総じて微妙な評価です。「また絶妙にいけてない変更をしようとしてるな。。」「うーん変えるのは賛成だけど絶妙に中途半端。。来年に向けての準備が進んでしまっているなかでは精一杯の変更かな」などの意見はまだ優しいほうで、「いつにしても文句は出る。いっそのこと、規制するのではなく自由にした方が良い。新卒も中途も通年採用。正社員も解雇自由。そうすれば、就職がゴールではなく、スタートとなる」という、日本型雇用システムへのいらだちをぶつける声も少なくないです。


また、大学側からは「卒業後に半年くらいかけて、卒論や修論の結果を持って就活するのがいい。それなら大学の勉強を真面目にやるモチベーションにもなるし。大学はもっと卒業要件を厳しくするべし!」という議論があるが、「卒業後に就活なら、卒業要件を厳しくするのもそんなに難しくない」という声も。そもそも8月解禁が、日本の大学を研究機関として再生し、国際競争力を高めるという背景もあるわけで、これも大学側からするとまっとうな意見でしょう。


■学生の視点こそ

以上、つらつらと書いてきましたが、どうにもいちばん大切な視点が欠落しているように思えてなりません。それは学生の「就業観醸成」という観点です。最近では大学在学時に、サービスを開発し起業するという意識の高い学生も一部存在しますが、大多数の学生は働くことのリアリティ、職業や企業の選択眼など、自分のキャリアをイメージしていくための知識を獲得することがないままに、就活戦線に突入していきます。インターンシップも増加してきましたが、いちばん増加したのはワンデイと呼ばれる疑似会社説明会。これでは本来のインターンの目的は達成されません。不毛な時期議論、企業の採用競争、大学の研究競争など、オトナの都合に巻き込まれてしまう学生たちが、1.2年生の早い時期から企業にふれ、企業で働く人にふれ、働くリアリティや本人のキャリア観をイメージできていけるような施策がもっと必要だと、個人的には強く思っています。


◆本件に関するお問い合わせ先

ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
担当 :和田
 ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。