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ツナグ働き方研究所

03 COLUMN2018.06.14

  • コラム

    【店長応援企画・店長のミカタ】店長向け働き方改革のヒント(後編)
    らしさラボ・伊庭正康さん

    おもてなしの国ニッポン。その世界最高峰のサービス力を支えるのは、間違いなく現場を仕切る店長だ。日本のお家芸ともいえる「飲食業界」を牽引する主役たちが、その舞台となる店舗をどのようにマネジメントしていくのか。特に「働き方改革」の大号令が駆け巡る昨今。職場のホワイト化は、店長に課せられた最重要ミッションと言っても過言ではありません。

    そこで今回は「ホワイト化」を実現する上で有効なマネジメント手法をご紹介。


    前編のスタッフがポジティブになる「叱り方」マネジメントに続いて後編では、ホワイトに直結する「時短」マネジメントについて、らしさラボ・伊庭正康さんと、ツナグ働き方研究所所長・平賀の対談の模様をお届けいたします。


    ※前編 スタッフがポジティブになる「叱り方」マネジメント 日本アンガーマネジメント協会・戸田久実さん


    ホワイトに直結する「時短」マネジメント

    平賀

    飲食店やサービス業での人手不足が深刻な状況を迎える中、スタッフ一人当たりの業務負荷が増える→きつくて辞めてしまう→ますます店舗運営が厳しくなる、という負のスパイラルに陥っている職場が増えています。その状況を是正するための「働き方改革」でもあるわけですが、経営から「残業削減」を厳命される店長の立場からすれば、「じゃあどうすればいいんだよ!」というのがホンネじゃないでしょうか。



    伊庭

    単に「時短」と声高に言ったところで、術を授けないのでは、難しいですよね。



    平賀

    そこで今回は、業務の効率化を図り、スタッフに負荷を掛けずに生産性を上げるためのマネジメント術を、ご教授いただきたいんです。



    伊庭

    さまざまな企業が生産性向上のために、いかに業務上のムダやムラを低減させるかということを考えています。「ECRS」という業務効率化のフレームが、飲食店やサービス業の現場にも使えると思います。



    平賀

    「ECRS」は、メーカーの生産ラインなどでよく使われるフレームですよね。それが飲食店やサービス業にも活かせると?



    伊庭

    はい。ムダ、ムラ、ムリをなくすための、シンプルな概念です。


    お店の強みを知ることが、業務効率化を図る重要なポイント

    平賀

    例えば一つの店舗でそれを行うためには、どう進めれば?



    伊庭

    まず、すでに業務として行っているものの中で「それはやめてもいい」というものを洗い出します。例えば忙しいランチタイムに、今日のオススメメニューをテーブルごとにスタッフが丁寧に説明するということは本当に必要なのか、とか。それでも「必要だ」と思うのなら、お客さんへの情報提供とオーダー数をアップさせるための工夫を結合させる「一石二鳥」の考え方で、オススメのメニューを書いたポップや黒板などで興味を引くなど、伝達方法の効率化を考えるとか。



    平賀

    なるほど。まずは「やるべきこと」か「やらなくていいこと」かの見極めをして、それでも「やるべき」と思うのなら、その目的を達成するための「やり方」を見直すと。



    伊庭

    業務の順序を変更することでも、ムダを省くことができますよね。例えば、ランチのサラダに付くドレッシングは、あらかじめ各テーブルにセットしておくとか。それだけでスタッフの動きは一つ減らせますし。業務の単純化、つまり、もっと簡単にできる方法を考えるということも重要です。均一なサービスが求められるものはできるだけマニュアル化するとか。



    平賀

    一方で、業務の効率化を追求していくと、高いホスピタリティを誇る日本の「おもてなし」文化が衰退していくのではないかという懸念はないですか。行き届いた接客をセールスポイントにしているお店も多いはずで、そうした飲食店での「業務効率化」は、ともすれば店舗の良さを消してしまうのではないかと。



    伊庭

    顧客満足のために「やるべき」ことなのか、それをやめても影響はないことなのか、その線引きが重要なんです。



    平賀

    自分の店の絶対的強みを見極める必要があると。



    伊庭

    そうです。要はお客さんは何を求めて来店しているのか、ということを知ることです。お客さんの「願望価値」に応えるサービスは、当然やめてはいけない。逆にお店としてのセールスポイントになっていないのなら、やめてもいいわけで。ストロングポイントがどこなのかを知ることが、逆説的にムダをなくすことの第一歩なんです。


    現場スタッフとのコミュニケーションの中に生産性向上のヒントがある

    平賀

    それでも、これまで続けてきたことを「やめる」のは、勇気がいることだったりしませんか?



    伊庭

    だからこそ店長だけでなく、現場のスタッフ全員から意見を聞くという作業が重要なんです。まずは「やめてもいいと思うこと」を全員で書き出す。その上で、「やっぱりここは残すべき」という話し合いをすることで、おのずと店舗として大切にしてきたこと、これからも大切にすべきこと、つまりはお店としての勝負どころが明確になります。



    平賀

    そうですよね。店舗ごとの個性というか、接客が何よりの強みだという店舗もあれば、料理の味や提供スピードで勝負するお店もある。



    伊庭

    「やめていいこと」をバッサリやめてみると、お店の特徴がより際立つ。そこをアピールできるし、スタッフの負担は減るという、真の意味での生産性向上が達成されます。



    平賀

    そう考えると、「そこまで求められていないこと」は切り捨てる勇気を持つことが大事だし、店長は感じていなくても、スタッフは「こうした方がいい」と感じていることが、結構あるのかもしれないですね。



    伊庭

    そのために、どれほど忙しい店舗でも店長はスタッフとの面談時間を定期的に取るべきです。そのコミュニケーションの中にこそ、生産性向上のヒントがありますから。



    平賀

    忙しくて大変な状況でも、そこは削っちゃいけない。



    伊庭

    最初はなかなか意見は出てこないんですよ。でも、繰り返すうちにスタッフも「そういえばここはもう少し何とかならないか」という視点で仕事を振り返るようになります。それを面談や日々のコミュニケーションで引き出せる店長は、「これはやらなくてもいい」という判断を下す勇気も持てるようになるはずです。



    平賀

    スタッフとのコミュニケーションは後回しにしてしまいがちですが、実はそこに「生産性向上」のヒントがあるということですね。本日はありがとうございました。


    業務を見直し生産性を向上させることで職場全体の労働時間を短縮する「時短マネジメント」。自分のこだわりポイントを棚卸しして、怒りの制御と正しい叱り方を体得する「アンガーマネジメント」。時短と叱り方という一見、まるで懸け離れたテーマのように見えて、実はそのアプローチのプロセスは極めて近しいものであった。

    あるメソッドを使うことで1.詳細化→分別すること、2.その作業は店長一人ではなく職場のメンバー全員を巻き込み実行していくこと。

    店長がリードすべき「職場の働き方改革」は、このマネジメントプロセスの実践によって大きく前進するであろう。取材させていただいたお二人からの示唆が、あらためてそれを確信させてくれた。


    ◆本編資料(PDF)もしくは参考サイト(URL)はこちらから

    株式会社らしさラボ

    伊庭 正康さん著書一覧

    ◆プロフィール

    伊庭 正康(いば まさやす)

    株式会社らしさラボ
    代表取締役

    ◆本件に関するお問い合わせ先

    ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
    担当 :和田
     ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。