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ツナグ働き方研究所

【多様な働き方を研究するコラム】
働く女性の空気を読めるイクボスを目指せ!

「イクボス」とは、職場で共に働く部下・スタッフのワークライフバランス(仕事と生活の両立)を考え、その人のキャリアと人生を応援しながら、組織の業績も結果を出しつつ、自らも仕事と私生活を楽しむことができる上司(経営者・管理職)のことを指します(対象は男性管理職に限らず、増えるであろう女性管理職も)。
女性が家事育児と仕事を両立させていく上では、今後その存在感が増していくのではないでしょうか。
それでは、理想的な「イクボス」とは?

■日本独特の職場環境

空気を読む―――。


いかにも日本的な社会観を表す言葉だと思います。ある学者は、これを高コンテクスト社会と呼んでいます。コンテクスト=文脈、を読む、意訳すると行間を読む、ということでしょうか。この高コンテクストな状況が、最も問われ、最も蔓延してるのが「職場」と言えるでしょう。


コンテクストを高いレベルで共有するためには、全人格的で長時間のコミットが必要となりがちです。いわゆる「飲みニケーション」などの職場外コミュニケーションもその最たる例です。


すなわち、この空気を読む職場というのは、家事育児と両立しながら働く女性にとって、すこぶる居心地の悪い労働環境とも言えます。しかも、空気を読むコンテクストの非対称性が、そのやりにくさをさらに助長しているのです。どういうことかと言うと、働くママ側は、同じ職場のメンバーがみな忙しく働いているという職場の空気を痛いほど読んでいます。


一方、上司や周囲のメンバー側の働くママの事情をおもんばかる意識が低い、すなわち空気を読んでいないというのが実態ではないでしょうか。例えば、時短で働くママさん達は、他の従業員より早く(たとえば午後4時くらいに)会社を出る時、必ずすいませんと言ってしまう、と口を揃えて言います。


自分だけ早く帰ることを申し訳なく思うからです。それに対して「なんだ。あいつ仕事を残して帰ったのか。」「なんであの先輩だけ早く帰れるんですかね。」という言葉が、職場内でささやかれたり、挙げ句、そこにさらに上司が「まあ、時短勤務だからな。いや、ホント、困ったもんだよ。」などと、かぶせてしまうシーンも少なくありません。これは働くママの空気をまったく理解していない上司、まさにダメボスの典型的なパターンです。


■上司は、女性に理解があるつもり

ある大学の研究室で行った企業向け女性活躍についての調査によると、「私の職場は、女性が結婚・出産後も辞めることなく働ける環境にあると思うか」という問いに関して、「あてはまる」と答えた比率は、従業員全員よりも管理職のほうがポイントが高い結果となりました。


これは、管理職のほうが働く女性に理解があることを示しています。


一方、「女性が結婚・出産後も辞めることなく働ける環境にあると思う」と「短時間労働がとりやすい環境にあると思う」という項目のスコアを比較すると、後者が25ポイントも低くなっています。


つまりは、イメージや思いとして、職場の上司は女性活躍を支援しているつもりなんだけど、いざ、実際に短時間労働をとることへの理解度はそれほど高くないという残念な事実です。


また、上司の支援に関しての設問では、女性が支援されていると感じている項目が「自律的に働けるようまかされている」 「仕事の相談がしやすい」であるのに対し、逆に支援してもらえてないと感じている項目の上位は「仕事の息抜きにつきあってくれる」「精神的な支えになってくれる」となっています。


仕事に関する直接的バックアップはあるのだけど、家事育児との両立の大変さも含めて上司に相談できる環境は整っていないということです。


■模範的なイクボスは、働く女性の空気を読む

毎日保育園のお迎えがある、急な発熱で帰らなければいけなくなったなどの事情は、本人の意志ではどうすることもできない事項です。


そのことに理解を示さずに無理を強いることは本人を傷つけ、仕事の意欲をそぐようなダメージにもつながりかねません。彼女たちが痛切に感じている、仕事に打ち込みたくてもできないジレンマを推し量り理解すること、そして、それを受け入れたうえでのコミュニケーションを心掛けることが、信頼関係を築いていくいえで大切なのは言うまでもありません。


要は、部下の事情にどれだけ寄り添っていけるか、ということ。


そのためにも事前の情報収集が重要です。


例えば、部下の子どもが発熱したと聞いて、「最近風邪が流行ってるからねぇ」と返せる上司は、子どもがかかりやすい感染症の季節ごとの情報などを事前に仕入れていたりします。


また、時短勤務者を抱える組織では、勤務体系や給与の仕組みを他のメンバーが理解していないケースが多くなりがち。互いに誤解のないよう周知させることがチーム内の不協和音を防ぐことにもつながります。


こういったことで総合的にチームの結束力を高めることもできますし、他のメンバーに対しても「困ったときはお互いさま。次は君たちの番」というメッセージを発信していることになります。


上司自らが率先して働く制約のあるメンバーへの理解・協力の姿勢を示していくことで、メンバーも「明日からまた頑張ろう」という意欲を向上していくのは明らかです。これこそがイクボス。


この国の「空気を読む」という特殊な社会観が、働く女性にとっての働きやすさを阻害しているとした時、むしろ、上司はメンバーの数倍、敏感に空気を読むことが必要とされるのではないでしょうか。


国民性を嘆くより国民性をいかすマネジメント、そんなイクボスが増えていくことを切に願います。


◆本件に関するお問い合わせ先

ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
担当 :和田
 ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。