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ツナグ働き方研究所

【多様な働き方を研究するコラム】長時間労働問題の深層

国が推し進めている「長時間労働の是正」。反面その政策を侮るかのように、長時間労働を良しとする風潮に加え、改善が進まない実態があります。今回はツナグ働き方研究所所長 平賀が長時間労働についての考察を述べたいと思います。

■長時間労働にメス!

「長時間労働」の問題がいま、俄然注目を浴びています。

安倍首相自らが経済再興の第3の矢と位置づけた「働き方改革」。その大きな柱として「長時間労働の是正」が掲げられる中、ほぼ時を同じくして発覚した大手広告代理店での過労死事件。その背景にあったのがまさにこの長時間労働問題でした。


この事件は、日本型雇用システムの限界を鮮明に映し出してしまいました。いろいろな論点があるとは思いますが、長時間働くことが当たり前という中で育ったワーカホリックなDNA、そういう人が上司にいる労働環境が大きく影響していることに異を唱える人はいないでしょう。「自分の若いころは朝7時に来て、下手したら夜11時ぐらいまで仕事をしたもんだ。当然体が持たないので、毎朝、喫茶店に行って休憩して。夜は夜で、残業に備えて小一時間は外で食事したりして。なんだかんだ言って毎日3時間ぐらいは無駄にしてたよねえ」

こんな生産性の低い働き方を、むしろ自慢げに語る人もまだいるのです。


■190時間残業店長のリアル

今回の事件では、正社員ホワイトカラーの長時間労働問題がクローズアップされることになってしまいましたが、同じ第3次産業に属する飲食店や小売店などのサービス業も、もちろん例外ではありません。中でも、いちばん深刻なのが店長の働き方と言えるでしょう。働き手の多くをアルバイト・パートに依存するこの業界において、近年ブラックバイトに関する報道も多くなってきたものの、そのブラックバイト現象も、そもそも店長の働き過ぎに起因しているのは明白です。


つい先日、インタビューさせていただいたある店長は、ほぼ毎朝9時に出勤し、仕事を終えて店を出るのはだいたい午後11時で、週2回休めることも稀にあるものの、圧倒的に週1休みが多いとのことでした。仮に月の休みを6回とすると14時間×25日勤務で350時間労働となります。所定労働時間を160時間(8時間×20日勤務)とすると、なんと190時間も残業していることになります。しかも、その店長の口からは「まだ、休めるようになっただけマシです」というコメントも。

それだけの時間働いた分の残業代は、管理職の「見なし手当」として定額が支払われるだけ。週6で長時間働いているアルバイトスタッフの給与の方が多いという逆転現象もざらに存在するとのこと。


その店長の告白は続きます。

シフトをあまり絞りすぎると、アルバイトの稼ぎたい欲求を満たせない、あるいは、働くスタッフへの負荷が高まる、という観点から、その店長はシフト編成をスタッフに配慮しながら組んでいるらしいのですが、社長からはもっと利益を意識してほしいという要望をされるとのこと。店長自身は、この社長に心酔していることもあり、この要望に応えなければ、と考えているようでしたが昨今の人手不足感からすると、アルバイトの離職抑止は最重要テーマです。この店長のスタッフ思いのシフト編成が、離職を抑える効果を生み、結果、余分な採用コストがかからないという点において、充分利益貢献しているという見方もできます。


■問われる経営者の意識改革

おもてなしの基準値が高い日本は、「サービス」を付加価値として価格に転嫁しにくい国です。チップというおもてなし対価システムもありません。リーマンショック以降デフレ構造が定着してしまい、価格を上げづらい状況のままです。結果、人件費が抑制され、人材が集まりにくく、労働環境が劣化するという悪循環。その構造に対しての「解」は、残念ながら簡単には見つかりません。


元来、魅力的な人物であることが多い飲食店の経営者は、そのカリスマ性で店長やアルバイトに無理を言うマネジメントを成立させてきました。自身も創業期には寝る時間を惜しんで店舗運営に粉骨砕身してきたことでしょう。しかしながら、前述の「長時間DNA上司」と同じような旧態依然とした価値観では、もはや、職場は持たないくらいの危険水域に達しています。

店長が毎月200時間近くも残業している現状を放置しておけば、働き手の離反を招き、結果として経営を圧迫するというさらなる悪循環が待っているのは火を見るより明らか。もう待ったなしです。


◆本件に関するお問い合わせ先

ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
担当 :和田
 ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。