【多様な働き方を研究するコラム】
セブン-イレブンの高齢者雇用に思う
本日はツナグ働き方研究所所長の平賀よりコンビニエンスストアにおけるシニア活用についてお送りいたします。
セブン-イレブン・ジャパンと大阪府が、さる6月24日に55歳以上の高齢失業者を対象にしたコンビニエンスストア採用説明会を開催しました。高齢者にも身近なコンビニを目指すセブン-イレブン・ジャパンが、高齢者の働く場所を確保したい自治体と包括契約を締結し高齢者雇用を進めるのは、昨年の福岡県に次いで全国2例目。
今回実施した説明会では、レジ打ち等の接客や品出しだけではなく、食事や商品の配達といった様々な仕事内容や就業条件などが、わかりやすく紹介されていましたが、なかでも目玉は、弁当などを宅配する「セブンミール」サービスの募集です。
ひとり暮らし高齢者への買い物支援や弁当配達とともに、その見守り役も兼ねる仕事のため、地域の実情に詳しいことに加え、同年代や年配者の気持ちを理解できることが必要で、まさに地域の元気な高齢者にとってドンピシャな仕事なのです。
高齢者雇用創出の観点だけでなく、コンビニエンスストアが地域のインフラを担っていくという社会貢献の視点からみても非常に画期的だといえます。もちろんビジネス面においてもセブン側にとっては、店への親近感を生む効果が期待できます。
先行する福岡県の事例では、県とセブン-イレブンの包括提携協定締結を機に、昨年4月に開所した“高齢者のための総合支援拠点”福岡県70 歳現役応援センターにおいて、セブン-イレブン県内全域の店舗から高齢者スタッフの求人を受け付け、採用後はセブン-イレブン店舗が実施している宅配サービス中に行う見守り活動を「見守りネットふくおか」とし、従業員がひとり暮らし高齢者等の異変を察知した場合に 市町村に通報する取り組みがすでに実施されています。
厚生労働省の商業動態統計月報によると、2015年5月時点で全国のコンビニエンスストア店舗数は53551店舗となっています。1店舗あたり約20人のスタッフで回すと言われていますので、概算でも100万人の雇用を支える業界なのです。ちょっと乱暴な比較にはなってしまいますが、なにかと物議をかもしだす派遣社員が135万人であることからも、そのボリューム感は、もはや非常に影響力を持つものだといえます。
働き手に関しても非常に多様です。高校生のエントリーバイト先であり、主婦の職場復帰時の定番職種であり、外国人留学生の貴重な受け皿であり、前述のように高齢者雇用の可能性を広げてくれるフィールドであり。だからこそ、働き方の新しい試みに関して期待したいところです。例えばローソンでは、すべてのオペレーションを覚えるのが難しいという方を対象に清掃を専門とするクルーの採用を始めたそうです。
これまでのローソンでは、ひとりですべてのオペレーションを担当することを基本にしていたらしくかなりの英断だったようですが、確かに高齢者を採用するといっても、50歳と70歳では全然違いますし、その人その人にあった働き方を提供していくことは、これからも増えていかざるをえないでしょう。それが新しい働き方につながるのではないかと。おおげさでなく「コンビニエンスストアの働き方」が日本のダイバーシティに好影響を与えてくれると思う今日この頃です。
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