【多様な働き方を研究するコラム】正月休み明け、上司への審判が下る?
メールやLINEで依頼するだけで、会社と一切関わることなく退職できる。
会社を辞めたいと悩んだときに“渡りに舟”のサービスについて過去のコラム(急増する退職代行。その背景を考える。)でもすでに紹介しましたが
2019年は、この「退職代行」が急激に広まっていきました。
背景には、もちろん空前の人出不足といわれる労働市場環境があります。
超がつく売り手市場で、いまの職場よりも条件がいい転職先が容易に見つかるとなれば
不満の多い職場で我慢し続ける必要はありません。
ただでさえ、最近の若者は超合理的です。
会社側の引き留めがヒートアップし、退職交渉自体が難しくなるなか
数万円で煩わしい交渉をしなくてすむなら、「コスパがいい」ということになります。
我々、ツナグ働き方研究所が“入社3年目までの若者1000人”に聞いたところ
男子の47.5%が“退職代行を利用したい”という驚きの調査結果が出たほどです。
退職代行から電話がかかってくる。
企業側からするとまったく嬉しくない状況が、年末年始には更に増えてくると思われます。
もちろんボーナス退社組もいるでしょうが
それよりも危険度が高いのが年明けの突然の退職でしょう。
長期休暇の後は、最も退職代行が活躍しやすい季節です。
退職代行が注目を浴びるようになったのも、今年のゴールデンウイーク明けでした。
実家に帰省して親と話したり、学生時代の友人と会ったりすることで
人生について見直すことが多いのです。
最近の若者は、SNSでいろいろな人とつながっています。
オンライン社会の中で“見て見られて”という生活をおくることで
無意識のうちに他人と自分を相対比較することが習慣化しています。
同世代がイキイキ働いている話を聞くと、自分の職場と比較して悶々とします。
急激にモチベーションが下がり、休みが明けても出社することなく退職代行を頼む。
こういう展開が容易に想像できます。
では、どのようなマネジメントをすればよいのか。
そのおおきなヒントが「心理的安全性」という言葉でしょう。
“他人の反応に怯えたり、羞恥心を感じたりすることなく
自然体の自分をさらけ出すことのできる環境“を指すこの心理学用語も
「退職代行」と同じくらい、今年のバズワードとなりました。
前述のように、いまの若者世代はSNSの中で“見て見られ”という生活に慣れ親しんだことで
過剰なくらい忖度をしがちです。
同僚からバカにされないだろうか、上司から叱られないだろうか……。
彼らは常にまわりの目を気にしているのです。
そんな若者に「自分はここにいていいんだ」「何を言っても否定せずに受け止めてもらえるんだ」
という居場所を提供することが極めて重要なのは、言うまでもないでしょう。
職場の若手が、お正月明けにちゃんと出社してくるか。
それは彼らがどのようなコンディションで働いていたのかにかかっています。
上司にとっては、日々のマネジメントに審判が下る
ドキドキの2020年仕事始めとなるかもしれません。
ちなみに、心理的安全性の担保された職場をつくるためのキーワードが
レコグニション(=承認)とエンゲージメントです。
そしてその実践には
・細かく口を出すのではなく、スタッフに権限を与えてくれる
・スタッフの成功やプライベートの充実、健康に関心を示してくれる
・良い聞き手であり、情報共有を円滑にする良いコミュニケーターである
・チームをサポートするために必要な専門的技術やスキルを持っている
・組織への帰属意識を高めるために明確なビジョンを掲げている
といったアクションが重要だとされています。
組織を抱えるマネジメント層のみなさん、できてますか?
この1年を振り返り、日々の職場コミュニケーションを棚卸ししてみませんか。
あ、もちろん自分に向けても言ってます。苦笑。
◆本件に関するお問い合わせ先
担当 :和田
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