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ツナグ働き方研究所

03 COLUMN2018.02.14

  • コラム

    【店長応援企画・店長のミカタ】
    ワンダーテーブル戸田史朗氏×ツナグ働き方研究所 所長 平賀

    おもてなしの国ニッポン。その世界最高峰のサービス力を支えるのは、間違いなく現場を仕切る店長。日本のお家芸ともいえる「飲食業界」を牽引する主役たちが、どのように働き、どのようなキャリアを積んでいくのか。21世紀のニッポンの働き方を考える上で、この命題は非常に重要なイシューです。
    今回は、株式会社ワンダーテーブルの取締役戸田史朗さんがゲスト。従業員への教育やモチベーションを高く保つための施策に積極的で、それが成功につながっているという点において、まさに「飲食業界のお手本」ともいえる同社の取り組みに迫りました。
    各店舗の「現場力」を担うスタッフの育成がカギ

    平賀

    本日はワンダーテーブルさんの人材マネジメントについて、たっぷりお話を伺いたいと思います。そういった風土は設立当初からあったのですか?



    戸田

    もともと人に対して関わりが強い会社だったとは思います。でも飲食事業のスタート期は集客できるブランドを作って、それを展開していくことで会社を大きくしていこうという考えが強かったんです。しかし後発の他社ブランドはそれをアップデートした形で勝負してくるわけで、そこに私たちが勝つためには、やはり「現場力」が大切だというところに行き当たりました。そこから今につながるさまざまな制度や仕組みが作られていったんです。



    平賀

    ハードとしての店舗はもちろん大事だけれど、人材やオペレーションという、その中のソフトの部分がより重要であると。



    戸田

    そうです。足を運んでくれたお客様の満足度に深く関わるのはソフトの部分です。そこを育てていくべきだろうと。



    平賀

    「ソフトの重要性」、つまりスタッフのサービスや接客スキルの大切さは、どんな飲食関係者でも漠然と理解していることだと思いますが、それを実際に維持できるように制度化したり、全ての社員が等しく理解できるようにと効果的に落とし込んでいるのがワンダーテーブルの強みだと思うんですよね。そういった意味でも、ナレッジマネジメントの「ホップ・ステップ・ジャンププログラム」(HSJプログラム)や社内コンペの「ワンダーテーブルフォーラム」といった取り組みはとても象徴的です。これらの制度はどのように出来上がっていったんですか?



    戸田

    確か、2000年の初め頃だったと思いますが、いずれも「現場力」を強化するという意味で制度化、イベント化したものですね。それらがスタートする少し前に、経営理念も掲げました。


    規模感が大きくなっても全員が理念を共有できる仕組み

    平賀

    スタッフ全員が共有する思いとして、分かりやすい言葉があるというのは大切ですよね。その理念と現場力強化の取り組みとがリンクしていけば、より浸透していきますし。



    戸田

    そうですね。その頃は30店舗まで店舗数が伸びていて、これから40店舗50店舗と増やしていこうという中で、規模感が大きくなっても社員が同じ思いを共有できる仕組み作りは重要な仕事でした。



    平賀

    現在のワンダーテーブルの理念は「市場を拓き、嬉しい時間(とき)を創る」というものですよね。



    戸田

    理念は必ずしも不変のものではなくて、少しずつ形を変えていっています。理念があってそれに行動を近づけるというだけでなく、今、そしてこれからやるべきことに理念を近づけていくという考え方もあると思うんです。



    平賀

    ワンダーテーブルの未来に向けた指針になり得るもの、とも言えますね。



    戸田

    私たちはサービス業を営んでいて、多くの事業所があって、消費はその場で起こっています。なので、各事業所の当事者が日々判断をしながらやっていくしかないんですよね。その判断基準を規定するには、あまりにも個別のケースが多すぎて、全てをルールにするのは無理なんです。だからその判断の軸となる理念を浸透させたいという思いが強いんです。



    平賀

    判断のよりどころとなるものを、その時代のニーズや将来的なビジョンに合わせて設定して、それを浸透させるための制度やルールを作っていくという考え方?



    戸田

    そうですね。ただ、ルールを作ることが目的になってはいけないと思っています。「HSJプログラム」を作ったときも、その仕組みを浸透させることや、プログラムを実施することが目的になってしまうことがあって、そこは注意しないといけないなと思います。



    平賀

    そこまで行き着くには大変だったのでは?



    戸田

    そうですね。社内に答えがないから、なんとかつてを頼りに、ヒントをくれそうな人に聞きに行ったり見に行ったり。知らないことばかりで大変でしたけど、すごく面白くて刺激的な日々でした。


    当事者意識が芽生えればエンジンがかかって、自発的に動き始める

    平賀

    「HSJプログラム」や「ワンダーテーブルフォーラム」といった枠組みを用意して、それを「現場力向上」という結果につなげるためには、参加するスタッフのモチベーションや理解を高めることも必要ですよね。そこはどのように醸成していったんですか?



    戸田

    「フォーラム」は好業績の店舗がその取り組みを全体に発表するという流れなんですが、やはり最初は「なんでわざわざ発表しないといけないの?」というテンションでした。そこを、モチベーションを上げたり、しっかりダメ出しをしたりするのも本部の役目ですよね。どんなにいい仕組みでも、それを使う人の意識が高くならなければ意味がないので。でも一度エンジンがかかれば、自分たちで自然に動き始めるんですよね。いかに自発的に動ける状態にするかがすごく大切。SVとしての仕事でも、売上を上げるために、こちらから指示するだけじゃなくて、ホワイトボード持参で、「今の売上はこうだけど、なんでこうなんだろう?どうすればいいんだろう?」って、支配人本人に考えてもらうんです。失敗してもいい。でもそのうちうまくいくようになると、モチベーションは格段に上がります。



    平賀

    言われた通りではなくて、自分で決めて動いた結果の成功体験が何よりの原動力ですよね。



    戸田

    研修のときもただ教えるだけではなく、店でそれをどう活用するかイメージさせながら伝えていきます。そうすることで現場で確実にアウトプットできるようになります。



    平賀

    お話を伺っていると、まず理念があって、それを実践・トレーニングに落とし込むということ。そして、仕組みとかマニュアルという決められたハードはあるけれど、それを従業員のマインドにいい形で転化させるということ。その二つが相乗効果を生み出していると感じます。



    戸田

    仕組みを作って続けていくだけでは意味がないですからね。現場のアルバイトさんにも浸透させていくことが大事です。


    アルバイトもモチベーション高く働ける理由

    平賀

    アルバイトスタッフにまで浸透させるのは難しいと思いますが、その秘訣はどんなところにありますか?



    戸田

    弊社ではアルバイトさんを「A社員」と呼んでいますが、その子たちをいかに経営に参画させていくかを考えています。雇用形態の違いだけで、仕事に取り組む姿勢に変わりはないでしょ、という考えです。A社員への浸透は朝礼で理念を唱和するのはもちろん、週に1回メッセージを送って、それについて意見を言ってもらったり、社員と1対1での面談で評価・フィードバックもします。それは会社のビジョンや思いを伝えるということでもあり、本人たちの考えをじっくり聞く機会でもあるんですよね。また「フォーラム」は、A社員が主役になれるよう意識して行っています。



    平賀

    他店舗のA社員と交流を持つのも、いい刺激になりますよね。



    戸田

    そうなんです。自分の店舗しか見えないと、何か嫌なことがあったら自分一人で抱えてしまうかもしれないけれど、接客コンテストとかに参加すると他店舗のA社員と話して、同じ悩みを抱えている人が見つかったり、友達ができたりもしますし。



    平賀

    でも以前、求職者に意識調査を行った際には、「他店との交流を望む」人の割合は低いという結果が出ました。そうした交流の場を嫌がる人もいませんか?



    戸田

    もし「他店のスタッフと交流するから」と言って複数名ずつ連れて集まったとしら、たぶんそれは失敗するでしょうね。でも接客コンテストへの選抜であれば、目的は交流ではないし、そこで明確な目的も見えているから、初めから参加者同士の共感はできているんですよね。それで後日、店で会う機会があれば「あ、あのときの」ということになって交流が始まります。



    平賀

    なるほど。ダイレクトに「交流」を目的にした集まりではないから、自然と共感が生まれていくんですね。



    戸田

    大人でも他人とすぐに打ち解けるのは難しいですよね。セミナーや情報交換の場がまずあって、その後の方が交流は生まれやすいですから。


    スタッフの笑顔でお客様を笑顔にする「ビッグスマイル」の取り組み

    平賀

    ところで僕は、御社の「ビッグスマイル」の制度が大好きなんですが、これはどういう経緯で始まったんですか?



    戸田

    きっかけは東日本大震災でした。会社として何か現実的な支援をしたいという中で、企業として具体的に何をするべきかを考えたんです。一つは募金。もう一つは売り上げの1%を寄付するということ。それはすぐに決まりました。震災直後は、飲食店に食事に行くことも自粛しようという雰囲気でしたので、「あの店は募金・寄付という取り組みをしている」と知ってもらえれば、足を運んでもらうきっかけになります。そしてどんな時でも、お客様には最高の笑顔で接して笑顔になっていただき、それが嬉しくてスタッフもまた笑顔になる、そんな笑顔があふれるお店の雰囲気にしたかった。



    平賀

    それで、ビッグスマイルのキャンペーンをやろうと?



    戸田

    そうです。で、さらにここがうちらしいんですが、ちゃんとすてきな笑顔ができるように、研修講師を呼んで、研修のパッケージをそのトレーナーと一緒に作ったんですよね。ただ笑顔を作るだけではなくて、心も大切なんだよと。僕らが全店に出向いて研修しました。



    平賀

    それが今でも制度として続いているのが素晴らしいと思うんです。



    戸田

    風化させずに続けていくためには、まず「バッジを作りましょう」ということになりました。笑顔がすてきなスタッフにバッジを渡すのですが、これは3~4カ月に一度、全社員を対象にしたリストを渡して、スタッフ同士でチェックします。その結果が良いとバッジがもらえ、結果が悪くなるとバッジははく奪されるので、一度手に入れたら終わりというものにはならないんですよね。



    平賀

    理念や企業としての思いを浸透させるための工夫がすごいなとつくづく感心させられます。制度もマニュアルも、作り込みが大切なんですね。デザインとかディテールに妥協がないというか。



    戸田

    例えば、社員一人一人が持っている企業コンセプトが書かれたカードは、リッツ・カールトンの「クレド・カード」と同じく三つ折りのコンパクトなデザインです。当初はもっと解説書みたいなものでしたが、それじゃ誰も使わないし読み返さない。それで、もっと分かりやすく伝わりやすいデザインを心掛けて、今の形にしました。当時社長だった林が各店舗を回って、A社員も来られる子には集まってもらって説明して、半年後にまた足を運んでということを繰り返しながら、理念の定着に尽力したんです。それは現社長の秋元に代わってからも続きました。こうしたツールは、研修とか面談の場で「持ってる?」と聞いたり、定期的に使う場面を作らなければ定着しないんですよね。



    平賀

    すごく現実的で具体的な場面までを想定されていて、本当に驚きます。常に理念が定着・共有されているからこそ、制度や研修やルールが奏功して「現場力の向上」という結果を導くんだなと。あらためてワンダーテーブルの軸のブレない取り組みには、飲食店を経営する上での重要なヒントが満載だと実感しました。ありがとうございました。


    ◆本件に関するお問い合わせ先

    ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
    担当 :和田
     ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。