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ツナグ働き方研究所

03 COLUMN2017.02.20

  • コラム

    【店長応援企画・店長のミカタ】店長という仕事を存分に楽しんでほしい
    HUGE新川義弘氏×ツナグ働き方研究所 所長 平賀

    21世紀をリードするニッポンの店長像を描く。このアプローチこそが、おもてなしの国ニッポンにおける飲食業界の未来を創造するのだ、という思いで立ち上げたシリーズ「店長のミカタ」。創業10年で大きな成長を遂げ、独自の経営手法でチャレンジを続けるHUGEの代表・新川義弘さん(以下・敬称略)をゲストに迎え、店長という仕事の魅力を存分に語っていただいた。
    店長の第一歩は、スタッフと強い信頼関係を築くこと

    平賀

    新川さんは、これまでたくさんの店舗の店長を経験されてきたわけですが、店長の仕事の醍醐味って、どんな場面で感じていましたか?



    新川

    僕は、21歳になる直前に初めて店長になったんです。で、23歳の頃ですかね。ある休みの日の翌日に、いつものようにお店に行くと、お客様に「昨日休みだったの?おまえがいないとこの店、面白くないよ」って言われて、その言葉にすごく充足感を覚えました。でもそれは「やっぱり俺がいなきゃ」という自己顕示欲でしかなくて、今から考えると赤面ものの恥ずかしい感情なんですよね。 お店って、「店長がいない時の姿」が本当の姿だと思うから、「店長がいないとダメ」って言われて喜んでいてはいけないんです。



    平賀

    なるほど。どういうきっかけで、そこに気付いて、店舗を俯瞰して見られるようになったんですか?



    新川

    僕の好きな映画に、イヴ・モンタン主演の『ギャルソン』という作品があります。なんてことはない映画ですけど、イヴ・モンタンはお客様に愛されるギャルソン役で、キッチンには絵に描いたような怖い料理人がいる。その料理人と他のギャルソンがもめているのを見てイヴ・モンタンは「俺に何でも言ってくれよ。お客さんのことは俺が何とかするから」っていう感動的なシーンがあって、すごくジーンときたんですよね。ホールとキッチンが、お互いの仕事を理解し合わず、殺伐とした空気になるのは、レストランの中では一般的によくある話なんです。それが僕は嫌で。その映画のように、僕も信頼関係で結ばれるチームをつくりたいと思いました。


    だから、当時のチーフに同じことを言ったんです。「今はまだバタバタしてるけど、何があっても俺がチーフの料理をお客さんに認めさせるから、何でも言ってくれ。その代わり、影で『あの店長の野郎』とか『ホールは何も分かってない』とか言うのだけはやめてくれ。俺もチーフに最初に何でも言うから」って。おっかないチーフでしたけど、強い信頼関係が築けたと思います。彼とは今でも親友ですしね。


    それまでは店長=ホールマネージャーという意識でしかなかったんですが、その頃にアメリカ研修に行った経験も大きくて、向こうでは店長ってGMっていうんです。ゼネラルマネージャー、つまり統括マネージャー。GMはチーフの上にいるんですよ。本来、店長とは、そういう立場で物事を総括して見なければいけないんだと。そこから店長という職位への見方が大きく変化しました。



    店長として働く時間を1日でも長く楽しんでほしい

    平賀

    意識が変革するにつれて、店長という仕事に対する楽しみ方も変わったと思うんですが、現在、店長の仕事の面白さは、どんなところにあると思いますか?



    新川

    お客様に一番近いところにいるっていうことと、組織の中にいながら、個店の店主としての楽しみを味わえること。その楽しみを味わえるのは、店長だけなんですよ。僕は前の会社にいる時、店長職を続けた後、その上の仕事へとステップアップして、あらためてそのことを理解したんです。「うわぁー、俺はやっぱり現場の店長でいたい」って(笑)。



    平賀

    現場で実感できることの意義に、あらためて気付いたと。



    新川

    店長として学んだことの方が濃いし泥臭いし、あの現場で感じるリアリティはたまらないですよ。



    平賀

    大きな企業になると、現場でのキャリアは通過点の一つで、早く本部に上がって来いという考え方が少なからずありますよね。



    新川

    現場を早く卒業して、ナレッジスキルを生かした本部での頭脳労働へと移行せよという、僕はその考え方を大いに否定したいんですよね。もしこの仕事を自分のものにしたいと考えるのであれば、僕は長い時間をかけて、店長という仕事を極めて、また存分に楽しむべきだと思います。何より僕がそうでしたから。



    平賀

    店長を長く続けたからこそ、新川さん自身もいろいろなことが身に付いて、飲食店の醍醐味を知ることができたということですよね。



    新川

    さっきのホールとキッチンの関係もそうですけど、例えば午前11時から翌朝5時まで営業しているレストランでは、早番と遅番、2軒の違うお店を回しているようなものです。彼らはそれぞれ立場が違うから、「遅番が売上の8割を担っているんだ」とか「早番は大事な仕込みをしているんだ」とか、それぞれにプライドがあって、水と油の関係にもなりやすい。


    でも、お互いの仕事への理解ってすごく大切で、それをうまくチームとしてまとめるのも店長の裁量だし、お店の雰囲気が良くなることは、全てお客様のためでもある。それでお店の売上が上がるとしたら、すごくやりがいのある仕事だと思いませんか? オーケストラでいえばコンダクターの役割です。




    平賀

    自分の指揮で、繁盛店をつくり上げる喜びは、確かに店長という立場でしかリアルには感じられないものかもしれないですね。



    新川

    ただ、僕は店長を長くやってきて、1日たりとも「完全に満ち足りた」と思える日はなかったです。毎日必ず何かが起こるんですよ。あ、あそこでグラス割りやがった、あのスタッフは声掛けができてない、何で目を合わせて接客しないんだろう、とか(笑)。 でも長い店長経験の中で、一瞬だけ感極まって泣いたことがあります。週末の気の遠くなるような忙しさの中で、エアポケットみたいに、ふと自分が何もしなくていい時間があったんです。その時にみんなの動きを見ていたら、このレストランには今、最高の時間が流れているなと。だからワインセラーに入って2分だけ男泣きしました。ああ、やっとここまで来れた、って。だけど、その後またすぐ何かが起こって現実に戻されるんだけど(笑)。


    個店主義を掲げながら店長に最大限、権限を委ねる

    平賀

    新川さんご自身が、そうしたリアルな店長経験を持つからこそ、HUGEでは、どのお店もそれぞれの店長が自由な裁量の下、業績を伸ばしているんですよね。



    新川

    私どもの会社の店舗は、独立採算制で、店長がそのPLを完全に預かっています。店舗を立ち上げる際の家賃交渉や契約更改、保険などは会社の責任でやりますが、それ以外は、人材採用やメニュー内容など、ほとんど店長に委ねています。



    平賀

    だから店舗ごとに、店長の個性が出るし、高いモチベーションを維持できると。



    新川

    面白いと思いますよ。最初は僕がレールを敷いていきますが、巡航速度に達したら、後はギアチェンジやブレーキをかけるタイミングは店長の判断に任せます。自分でお店を持ちたいという夢がある人には、すごく面白い仕事だと思う。組織が準備したお金で、自分の思う通りに店舗経営ができるんだから(笑)。



    平賀

    だからこそ、HUGEのレストランを任される店長さんは、一つのお店でじっくりと、自分とスタッフ、そしてお店を成長させていこうと思えるんですね。



    新川

    これからは特に個店主義の時代だと思うんです。お店そのものもそうですが、店長やスタッフといった「人」も、その街に根付くものにしたいんですよね。会社組織としては、個店主義は一見、非効率に思えるかもしれないけど、結果的にはそれが一番のゴーイングコンサーン。



    平賀

    各店長たちが、一国一城の主として、それぞれに工夫を凝らして利益を上げようとする中では、ある種のライバル意識が芽生えて、それぞれが手に入れたナレッジや成功事例は、秘密にしておきたいというか、あまり公開したくないという気持ちになったりしませんか?



    新川

    個店主義ではあるけれど、そこでそれぞれが培ったナレッジや新しい発見は、積極的に全体に共有したいと思う風土が大事です。それは組織の環境や雰囲気で、いくらでも変えられますよ。もちろん店長同士は競ってはいるんですよ。だけど、相手を蹴落としたところで、何もいいことはないじゃないですか。だって、会社全体が良くならなければ、お店だって新たなチャレンジやさらなる投資はできません。僕は店長たちに、それに気付いてもらうようにしているだけです。



    平賀

    例えばどんなふうに、ナレッジ共有の実践をしていますか?



    新川

    具体的な話でいうと、つい先日こんなことがありました。ある店舗で食べたカルボナーラが、黒胡椒がしっかり効いていてすごくおいしかったんですね。で、チーフに「これは、黒胡椒のミルを何回ひいてるの?」って聞いたら、「10回です」と。普通、黒胡椒を10回もひいたら、パンチの効き過ぎた味になってしまうんだけど、クリームソースにはすごくマッチして、逆にとても現代的な味になっていました。 だからそれを会議でみんなに伝えます。その時も全員に「良かったらやってみて」と言うだけなんですけどね。でもそれで、「やってみたらおいしかったんで、今日からそうしています」と、早速取り入れてくれる店もあって。いい情報はみんなが胸を張って公開したくなるような、そんな組織の雰囲気づくりは僕の仕事だと思います。


    「まだ現場にいるの?」という言葉が飲食業界をダメにする

    平賀

    日々新しい発見があって、それを隠さず発信することで会社の利益がさらに上がって、また新たなチャレンジもできる。



    新川

    だから、飲食業界全体にいえることなんだけど、店長という仕事をもっと楽しんでほしいって思うんです。さっきの話に戻りますが、会社組織自体が、現場より本部を上に見ていることが間違いだと思うんです。飲食業界では時々「まだ現場にいるの?」なんて言葉を、店長や現場リーダーに掛ける人がいますが、この言葉は、飲食業界の未来を思うと、本当にダメな言葉です。



    平賀

    店長という仕事をどう捉えて、いかに評価するかが、組織としての成長の鍵だといえますね。



    新川

    僕は、レストラン事業の経営において大切なことは三つあると考えています。「正当な評価制度」「学べる環境づくり」「面白い人間がいる会社かどうか」。三つ目は本当に大事で、「この人みたいになりたい」って思えるような人に出会えるかどうかは、組織で働く人間にとって非常に大きいと思うんです。



    平賀

    そういう現場があるから、また新たに店長やチーフになり得る良い人材が育っていき、それが組織の利益にもつながるという、良い循環を生んでいるんですよね。で、そういう組織経営ができるのも、新川さん自身が長く店長という仕事を楽しんできたからだと思います。



    新川

    本当にそうですね。店長を経験した先のゴールが、企業の本部じゃなくてもいいし、もちろん経営者じゃなくてもいい。ずっと店長のままでもいいんですよ。それくらい、店長の仕事は大事なものだし、そういう意識で働く店長が増えて、店長の能力や地位を正当に評価する企業が増えていけば、日本の飲食業界の未来はどんどん良い方に向かっていくと思いますけどね。



    平賀

    HUGEには、「その街の鼓動が集まるレストラン」という志があって。一店舗一店舗の店長が輝いていないと、とてもじゃないけど、その志は実現できません。彼らが誇りを持って働ける組織づくりを実践されているからこそ、HUGEが求めるレストランサービスの在り方に近づいていく。


    サービスとマネジメントが一気通貫した新川さんの経営手法。現場を何より大事にしたまさにHUGE流の考え方は、今の効率重視時代に一石を投じる貴重なイズムだと思います。

    ありがとうございました。



    取材協力

    tavern on S <és>(タバーン オン エス)

    2016年4月オープン。現在のアメリカで支持されているメニューにHUGEの得意とするイタリアンやメキシカン、中南米のエッセンスを加えた「ニューアメリカン」。使用しているオイルや調味料にもこだわり、名物のフライドチキンは驚くほど軽い仕上がりで女性を中心に好評を得ている。朝7時から翌日4時までと、様々なシーンで使えるオールデイズダイニング。


    ◆本件に関するお問い合わせ先

    ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
    担当 :和田
     ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。