
【採用ツール深読みコラム】
採用の原点回帰。リファラル採用は伸びる?伸びない?(後編)
ツナグ働き方研究所が求人マーケットの流行やこれからの動きについて解説するコーナー。前回リファラル採用の推進を阻む『手間』という壁を解消させたサービスをご紹介しましたが、そもそも自分の会社が友人に紹介したいほどステキでなければ、どれだけ環境やインセンティブが整っても従業員はリファラルアクションを起こしません。後編ではこの一朝一夕で解決できるものではない根本課題の解決から取り組み、リファラル採用を普及させようとしているベンチャー企業のサービスについてご紹介します。
2016年7月に「Refcome(リフカム)」というリファラル採用のサポートツールをリリースした株式会社リフカム(本社:東京都渋谷区)は10名強のベンチャー企業。「採用を仲間集めに」というミッションメッセージのもと、サービス開始からたった一年で利用企業を100社近くに広げました。
彼らの提供サービスは2つ。
ひとつは『リファラル採用』支援ツール「Refcome」。会社内の採用情報の集約、従業員への友人・知人の紹介依頼メール送信、従業員の友人・知人への求人情報の掲示、紹介経由であった応募情報の集約を一手に行い、従業員はメールで友人にリファラルのメッセージを送るだけ(下の図参照)というフローの支援を行うツール。
もうひとつは『組織活性』の度合いがひとめでわかるツール「Refcome Engage(リフカムエンゲージ)」。eNPS®(※注1)という「自分の会社が好きで、ほかの人に推奨できるかどうか?」を測定する指標を用いたクラウドサービスです。

「自分の組織が友人知人に紹介したいと思う環境になれば、自然とリファラルアクションは増えて自走するはず」と仮説だてし、この2つのサービスを組み合わせて企業に提供することを柱に置きました。『自社推奨度』が高い人を見つけて紹介依頼を行うのではなく、『自社推奨度』の低い組織を活性化させる。その結果リファラルアクションの底上げを行うという思想です。2月15日からは従業員を巻き込み自走するまでをアナログに伴走するサービス「Referal Success Partner」もスタートさせました。一見遠回りな『組織活性』からのアドバイスによって、一過的ではなく恒常的な『リファラル採用』の推進が可能な環境を作ることを目指しています。
友人・知人を職場には誘わなくても、遊び仲間に誘うということはよくあることです。私も友人から誘われて、とある会社のハンドボール部に参加していたことがあります。試合に負けた夜は反省会と称して酒を飲み、チームを強くするために必要なメンバーを探し、電話をして次回の試合に誘う。そうやって仲間の輪を広げていました。その部や集う仲間が好きで、そこに呼びたいと思ったから自然と『リファラル採用』を行っていました。
職場は部活動と同じではない。そう言われればそれまでですが、仲間と一緒に頑張って何かを作る環境であることは同じなはず。職場が部活動と同じくらい仲間を誘いたい場になれば『リファラル採用』は進む。自分の経験からもこの理屈は間違っていないように思えてなりません。
最後に、こんなデータをご紹介します。リファラルリクルーティング株式会社が東京都内の中小・ベンチャー企業を対象に昨年11月に行った調査結果です。(※注2)
『リファラル採用』にお金(報奨金)というわかりやすいインセンティブがどの程度効くのか?という調査で「効果的だった」という会社は過半数(56%)に過ぎませんでした。報奨金の平均額は13万3,519円。これは20代サラリーマンの平均月収(20万円:国税庁調べ)の半分以上で相当わかりやすいインセンティブにもかかわらず、積極的には動かないわけです。
媒体での採用が厳しくなっている今『リファラル採用』への期待は大きいと思います。ただ「手間の軽減」「インセンティブの有無や額」といった目先の課題解決で終始しているうちは、今以上の伸びはないと思います。
「採用を仲間集めに」とは前述のリフカム社のミッションメッセージですが、まさに従業員がそのレベルで考えられる環境に整えることが、『リファラル採用』を伸ばすキーになるのではないでしょうか。
(※注1)eNPSとは、Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
(※注2)リファラルリクルーティング社調べ 2017年リファラルリクルーティングに関するアンケート調査
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000029499.html
◆本件に関するお問い合わせ先
担当 :和田
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