
【採用ツール深読みコラム】求人業界の新たなクロフネ!?
Google for jobs(グーグル・フォー・ジョブズ)って何?
2018年11月6日にグーグルユーザーの10人に1人が利用できるという大規模テスト運用をスタートしにわかに盛り上がり始めた『Google for jobs(グーグル・フォー・ジョブズ)』。いよいよ2019年1月に日本での提供がスタートすることが報道されました(2018年12月28日日本経済新聞)。
『グーグル・フォー・ジョブズ』は、2017年6月に米国でスタート。『indeed』などの求人アグリゲーション(おまとめサービス)の進化版で、英語圏を中心に現在約100カ国でサービスが提供されています。インターネット内で最も力を持つ「検索プラットフォーマー」が求人サービスに進出してくるとあって、求人業界内に「indeedをも超える新たなクロフネ襲来」と、大きな衝撃を与えています。
リリース済みの米国版、ならびに日本におけるテスト版を見て、サービスの特徴を3つ挙げると
1.グーグル検索結果の最上位表示
2.情報をグーグルが再編集し独自フォームで提供
3.利用は完全無料だが、単独申し込みはできない
1.グーグル検索結果の最上位表示
グーグルの検索ワードに「居酒屋アルバイト 渋谷」などと求職活動をにおわせる言葉を入れた時点で『グーグル・フォー・ジョブズ』が発動。現在『indeed』『マイナビバイト』などが上位を占めるオーガニック検索結果の上位に地図情報+検索結果3件をまとめた小窓として出現します。グーグルが運用するサイトだから当たり前かもしれませんが、今まで「いかにしてグーグル検索結果で上位表示されるか?(=SEO対策)」を進めてきた求人サービス企業にとってはたまったものがありません。
2.情報をグーグルが再編集し独自フォームで提供
『グーグル・フォー・ジョブズ』は独自のフォーマットを持ちます。上記小窓をクリックするとフォーマットに移行。求人に特化した検索エンジンを搭載しサイト内で検索が可能です。「求人情報」の他に「職場のクチコミ情報」「SNS」「地図情報」といった求職者が求人情報を比較検討する際に必要とする情報もネット内から収集。再編集して一元提供するので、求職者は情報収集のために複数のサイトを検索する手間が省けます。
3.利用は完全無料だが、単独申し込みはできない
意外かもしれませんが『グーグル・フォー・ジョブズ』は求人サービスのサポートとしての位置づけですので、『indeed』のように直接アカウントを取って情報掲載したり上位表示をお金で買うことはできません。『グーグル・フォー・ジョブズ』に対応している求人媒体に掲載するか、対応しているATS(応募者管理システム)やオウンドメディア作成サービス(リクオプ、Hito-managerなど)を通じて求人情報を提供することが必要です。
求人プレイヤーにとってはクロフネかもしれませんが、求人企業にとっては採用難の今を乗り越える新たな切り札ともなりうる『グーグル・フォー・ジョブズ』。攻略には何が必要なのでしょうか?ケアが必要なポイントを考えてみましょう。
1.情報を掲載する求人媒体を選ぶ
現時点ではリクルート媒体、indeedを除くほぼすべての求人サイトが『グーグル・フォー・ジョブズ』に情報を提供しています(2018年11月時点情報)。逆にいうと、現在利用する企業が多い『タウンワーク』『リクナビネクスト』を利用しても『グーグル・フォー・ジョブズ』に掲載されません。どれだけ応募効果に影響が出るかは未知数ですが、それも踏まえた媒体利用決定を行う必要が出てきます。
※『indeed』は口コミサイトとしての取り扱い
2.住所表記が正確になされているかどうか調べる
『グーグル・フォー・ジョブズ』は利用者の検索履歴から推測し、検索内容と親和性の高い求人案件を「現在位置との距離」順に求人情報を提供します。求人情報内に正確な勤務地が記載されていないと求職者には情報提供されません。募集は店舗だが求人原稿の住所は本社という場合などは、正確に情報提供がなされないため求人原稿の見直しが必要となります。
3.職場の採用力を磨き、職場環境を整える
求職者が応募行動を左右する材料として欠かせない「SNS情報」「クチコミによる職場評価」。『グーグル・フォー・ジョブズ』はこの点を重要要素としてフォーマット内に取り入れています。SNS情報やクチコミは操作ができません。日々職場環境を整え、採用活動における職場力を高める必要があります。 ツナグ働き方研究所調べでは2人に1人は求人応募前に職場を下見しています。実際の求人環境でも大切な職場環境へのケアがより重要になってくるといえます。
グーグルは言わずと知れたインターネット検索のプラットフォーマー。求人サービスへの参入がどれだけの影響を与えるかは未知数ですが、その情報提供力にはおのずと期待が高まるところ。しかしながら一方では、求職者が応募するかしないかを決めるのは、求人広告に掲載している内容次第であることは変わらない事実。 紙媒体の求人広告時代に大切にしていた、「ひとつひとつの求人広告へのこだわり」「誰にどんな情報をどう提供するか」といった広告表現力が求人応募の効果に大きな影響を与えるのでは、と私は考えます。近未来型求人サービスの登場が、求人広告の原点回帰を促しているかのようですね。
◆本件に関するお問い合わせ先
担当 :和田
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