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ツナグ働き方研究所

【多様な働き方を研究するコラム】
新国立競技場の建設は本当に五輪までに間に合うのか?

いよいよ屋根の工事が始まった!

2020年の東京五輪開幕まで800日を切りました。

メインスタジアムとなる新国立競技場の建設も急ピッチで進んでいます。

先日、観客席を覆って新国立のシンボルともなる屋根の工事現場が公開され、テレビのニュースでも大きく報道されました。

現在、最難関とされる屋根工事の根幹部分を建設中で、神宮外苑の緑と調和する「杜(もり)のスタジアム」がいよいよその巨大な姿を現しつつあります。


思い起こせば、新国立競技場の建設というビッグプロジェクトは大きく迷走しました。

日本スポーツ振興センター(JSC)開催のデザイン・コンクールでイラン人建築家ザハ・ハディド氏が選ばれたのは、6年前の2012年まで遡ります。

流線形の斬新なデザインが、当時大きな話題となりました。

しかし1300億円と言われた総工費は、その後の見積もりで3000億円超まで膨らんでしまうことが明るみに出て、結局ザハ案は白紙撤回。

すったもんだの結果、再コンペが実施されることとなり、隈研吾氏による木の温もりを生かしたデザインが選出されたのは、2015年の年の瀬。


この建設計画の見直しで、建設工事の着工は当初予定より1年2カ月遅れたと言われています。

関係者筋は、折り返しを迎えた工事は順調に進んでいると胸を張りますが

果たして、2020年の五輪本番までに間に合うのでしょうか。


建設業界は深刻な人手不足

なぜなら建設関連の労働力が圧倒的に不足しているからです。

JSCによると、これまで年間約300日、一日平均1300人の労働者が工事に関わり、完成まで延べ約200万人の作業員を動員予定とのこと。

さらに作業の正念場とされる今夏からは、従来の倍以上の2500人?3000人まで作業員を増員するとしています。

しかしながら、「日本が世界に誇るスタジアムを建設する」という栄誉に浴する仕事であったとしても

そんなに簡単に人手が集まるわけがありません。


リクルートワークス研究所が推計したデータによると、2020年の東京五輪が生み出す労働力は81.5万人。

うち、建設業における人材ニーズが最も大きく33.5万人となっています。

これは、日本における建設業就業者(約500万人)の約7%にあたるインパクトです。

しかも、新国立競技場だけでなく建設業全体で五輪関連人材のピークを迎えるのが、今年18年なのです。


そもそも3K(きつい、汚い、危険)職場と指摘されることの多い建設現場の人材ニーズを満たすことは、容易ではありません。

働きたい人1人当たりにいくつ仕事があるかを示す有効求人倍率は、建設業では4?5倍という高い水準で推移しており、慢性的な人材不足を物語っています。

昨年10月、新国立競技場の建設工事に従事していた現場監督の男性が193時間にもおよぶ残業の末、過労自殺したという不幸な報道もありました。


現場は外国人頼み

そういう背景もあり、建設業に従事する外国人労働者は急増しています。2016年4万人強だったのが2017年からは5.5万人と34%も増加。外国人労働者の前年伸び率では全産業でトップ。


新国立競技場に足を運んだ観客は、寺社仏閣に訪れたような感覚になるだろう――。

コンペを制した建築家の隈研吾氏は、全ての観客とアスリートを木のぬくもりで包み込むコンセプトをそう表現しました。

この「日本らしいスタジアム」も海外からやってくる労働者の力を借りることなしに、完成に漕ぎつけることはできないのではないでしょうか。


しかしながら外国人労働者の雇用を巡っては、不法就労の問題がつきまとうのも事実です。

外国から訪れた技能実習生は母国への仕送りに必死で、高い賃金で釣られて失踪するケースは少なくないとも聞きます。

とある建設現場においては、どう見ても東南アジアから来たと思われる外国人が、「鈴木」という名札をつけて働いているという都市伝説もあるくらいです。

下層の下請け業者は、現場の人手不足を補うために、正規のルートではない方法でこうした外国人労働者を手配しているのです。


いずれにせよ、2020年に世界のトップアスリートを迎える舞台は、2019年の11月に完成予定。

深刻な人手不足という逆風が吹き荒れる中、不慮の事故や違法な就労問題などなく、その雄姿を目にすることを祈るばかりです。


◆本編資料(PDF)もしくは参考サイト(URL)はこちらから

【2017年度】労働市場データ特別編(外国人雇用)

◆本件に関するお問い合わせ先

ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
担当 :和田
 ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。