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【障害者雇用促進法】障害者雇用の「質」と向き合った議論終結、厚労省の有識者研究会 次回会合で報告書取りまとめ、舞台は労政審分科会へ
公労使と障害者団体の代表らで構成する厚生労働省の第12回「今後の障害者雇用促進制度の在り方に関する研究会」は12月24日、報告書の取りまとめに向けた実質的な最終議論を展開しました。障害者雇用率制度(法定雇用率)における障害者の範囲や「障害者雇用ビジネス」(代行ビジネス)のあり方などが課題となるなか、「雇用の質」という長年の懸案と向き合い、約1年間にわたって現場の運用実態を分析しながら見直しの方向性を探ってきました。次回会合で報告書を取りまとめ、それを基に議論の舞台は労働政策審議会障害者雇用分科会へと移り、法改正に向けた具体的な検討を進めます。
昨年12月3日に始動した同研究会は、障害者の雇用者数は堅調に増加している一方で「雇用の質」向上に対してどのような方策が求められるか。加えて、法定雇用率については(1)手帳を所持していない難病患者や、精神・発達障害者の位置づけ(2)就労継続支援A型事業所やその利用者の位置づけ(3)精神障害者において雇用率制度における「重度」区分を設けることの是非(4)障害者雇用納付金の納付義務の適用範囲を常用労働者数が100人以下の事業主へ拡大することの是非(5)法定雇用率の達成だけを目的とした利用が指摘されている「障害者雇用ビジネス」のあり方――をテーマにヒアリングを交えて丁寧に議論を重ねてきました。
この日、事務局の厚労省が提出した「これまでの議論の整理」では、「雇用の質」について「障害者雇用の『質』に関するガイドライン創設」「事業主の認定制度の拡大・認定インセンティブ」などが記されたほか、「障害者雇用ビジネス」に対しては「障害者雇用状況報告(毎年6月1日時点)の際に利用状況などを記載」「事業者向けにガイドラインを設定」などが課題打開の方策として盛り込まれました。加えて、手帳を所持していない難病患者は算定に含める方向で、精神・発達障害者は現状維持で整備していくことの妥当性が明記されています。「これまでの議論の整理」に対して、委員全員が最終となる意見を述べ、厚労省が次回までに意見を反映させた報告書案を提示することで合意しました。
一方、「これまでの議論の整理」の前に、次の法改正で法定雇用率の算定対象に加える方向となった「手帳を所持していない難病患者」に関し、算定に向けた「個別判定イメージ」を検討。個別判定の方法の粗いイメージとして、厚労省は(1)難病に罹患していることが分かる診断書+就労困難性のアセスメント、(2)難病の医療費助成の重症度判定+就労困難性のアセスメント、(3)難病の医療費助成の重症度判定+就労困難性のアセスメント+国が設置する審査委員会による合議――の3つの方法を示しました。3つの方法については、労政審の場で検討を深める見通しです。
◆本件に関するお問い合わせ先
担当 :和田
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