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【賃金デジタル】「賃金デジタル払い」の利用状況など報告、労政審労働条件分科
労働政策審議会の労働条件分科会(山川隆一分科会長)が6日開かれ、厚生労働省は企業が従業員の給与を電子マネーで支払う「賃金デジタル払い」の利用状況について報告しました。指定を受けている資金移動業者は4社で、今年3月末時点の労働者の口座件数は1万7210件、一口座当たり残高が4168円、取り扱い金額は約1.3億円となっています。第一号の指定が昨年8月で運用開始から1年も経過していないことから、労使ともに見直しを急がず推移を見守る姿勢を示しました。
「賃金デジタル払い」は、企業が労働者の希望に応じて、銀行口座を介さずに給与の全部または一部を決済アプリなどに振り込む仕組み。2022年秋、「通貨で直接、労働者に全額支払う」と定める労基法第24条第1項の省令を改正し、それまで例外として認めてきた「銀行口座・証券総合口座」に新しく「資金移動業者」を加えました。金融庁に登録しているキャッシュレス決済サービス事業者は90社程度で、このうち「賃金デジタル払い」の事業に参入するには厚労相の指定を受ける必要があります。
指定の要件としては、(1)賃金支払の口座残高の上限額を100万円以下に設定。また、上限を超えない措置を講じる(2)破綻時には口座残高の全額を速やかに弁済できる保証スキームを有するーーなど8項目。この日は、利用状況のほかに、規制改革推進会議の答申(5月28日公表)に盛り込まれた「資産保全要件の廃止または大幅な緩和」「外国人が母国の銀行口座への送金、ATMによる返還の代替的手法の容認」なども説明されました。労働者側委員は「労働者の生活の糧である賃金が安全かつ確実に支払われるための要件や規制であり、当面は施行状況を見ながら賃金デジタル払いを含む金融リテラシーを浸透させることが重要」と指摘。使用者側委員も「賃金の受け取り方法の選択肢を広げたことは良かったと受け止めている。一方で、実質的な運用開始から1年も経過しておらず、見直し議論は時期尚早ではないか」と、慎重な議論を求めました。
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担当 :和田
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