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【労働者派遣法】同一労働同一賃金に伴う派遣法20年改正を総点検、労政審「同一部会」
パートタイム・有期雇用労働法と労働者派遣法の見直し議論を展開している労働政策審議会「同一労働同一賃金部会」が6月25日開かれました。この日は、派遣法20年改正に集中して総点検を展開。公労使ともに一定の政策的効果を認めたうえで、労働者側委員は「改正の目的が果たされているかの基本に立って検証と必要な見直しを図るべき」と主張し、使用者側は「労使の真摯な取り組みによって賃金を含む待遇改善が進んでおり、今後は手続きや運用などの実務が重要」と強調しました。
施行5年に伴う「同一部会」は2月からスタートしており、(1)改正後のパート・有期法と派遣法の「均等・均衡待遇規定」(2)同一労働同一賃金ガイドライン(3)非正規雇用労働者に対する支援(正社員転換等のキャリアアップ、無期雇用フルタイム労働者への同一労働同一賃金ガイドラインの考え方の波及)――の3点を軸に検討。前回(5月21日)の部会では、パート・有期法について集中審議しています。
この日、厚生労働省が示した派遣法20年改正の論点は、「労使の取り組み促進」として(1)均等・均衡待遇(2)労働者に対する待遇に関する説明義務(3)その他の労使の取り組み促進のための方策 ――の3項目。(3)については更に(ア)公正な評価(イ)未経験者の登用拡大、従事する業務の高度化(ウ) 派遣労働者の意見の反映(エ)情報公表の促進――を点検。また、「行政による履行確保」の観点も加えました。
派遣労働者の賃金や待遇については、原則とする「派遣先均等・均衡」(派遣先方式)か「派遣元による労使協定」(労使協定方式)のいずれかの待遇決定方式を義務化。この選択制2方式のうち、「労使協定方式」を採用した場合には、局長通達の一般賃金水準より「同等以上」であることが要件となり、一般賃金水準は「職業安定業務統計」(ハローワーク統計)と「賃金構造基本統計調査」(賃構統計)の2種類をベースに算出されています。この日の議論では、主にこの選択制2方式と賃金水準のあり方や待遇に関する説明義務を巡って、労使が認識や見解を述べました。
原則の派遣先方式と労使協定方式について、労働者側委員は「原則の派遣先方式の活用が1割にも満たない。この現状を正しい形にする見直しが必要」「労使協定方式の勤続年数0年の賃金基準値がデータ平均から12%ほど割り引かれているのはいかがなものか」などと指摘。使用者側委員は「労使協定方式は効果を上げており、原則云々ではなく単純に選択制にすればよい」との見解を示しました。なお、勤続年数0年については、データに中途採用の人たちも含まれているため、その分を調整しています。
また、待遇に関する説明義務については、現行規定で「雇用する派遣労働者から求めがあったときは」との文言があるが(法第31条の2第4項目)、労働者側委員は「『求めがあれば』を削除すべき」と主張。使用者側委員は「現場で対応する担当者の負担増が想定されるほか、労働者が自身と比較対象労働者の働き方や待遇について理解したタイミングで、納得できないことの説明を求めるからこそ最も効果が高まる」として現状維持を求めました。次回は、これまでに挙がった意見を整理して、更に論点と課題を絞る見通しです。
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