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【労働基準法】高市首相の「労働時間規制緩和の検討」指示に労働側反発、労政審労働条件分科会
労働政策審議会の労働条件分科会(山川隆一分科会長)が10月27日開かれ、「多様な働き方に対応した労働基準法の見直し議論」を続行。労基法における労働時間法制のうち「法定休日・連続勤務規制」「勤務間インターバル」「つながらない権利」について公労使が意見を交わしました。冒頭、労働者側委員は、高市首相が上野賢一郎厚労相に指示した「労働時間規制緩和の検討」に言及。「働く現場から不安の声が集まっている。長時間労働是正の取り組みに逆行するもので、過労死ラインぎりぎりの水準である現行規制を緩める必要はない」と強調しました。
見直し議論を巡って同分科会は、(1)労働基準関係法制に共通する総論的課題として労基法における「労働者」「事業」「労使コミュニケーションのあり方」(2)労働時間法制の具体的課題(各労働時間制度)――をベースに議論を進めています。これに沿って議論は二巡した格好で、詰めの議論が展開されています。
この日は、「法定休日」について「第35条の休日に関する規定の保護法益の変化、特定や変更(振替)の手続きを含めてどのように考えるか」。「勤務間インターバル」について「勤務間インターバル制度のより実効性ある導入促進のために、どのような措置を講ずべきか」――などの論点を挙げて掘り下げました。
労働者側は、同分科会が労働時間規制の所管となる審議会とあって、冒頭に高市首相の指示をけん制した格好。10月23日の記者会見で連合の芳野友子会長は「過労死の実態から目を背けて長時間労働すれば生産性があがるかのような言説に惑わされないようにしてもらいたい」と指摘していました。一方、上野厚労相は10月21日の就任会見で「心身の健康維持と従業員の選択を前提にした労働時間規制の緩和の検討を行い、働き方改革を推進する」と述べています。
今年1月から同分科会で議論している労基法の見直し議論は、「副業・兼業における時間外労働の割増賃金の撤廃」などの方向で検討されており、労働時間の課題に限らず、労働行政全体に注目が集まりそうです。
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担当 :和田
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