【多様な働き方を研究するコラム】
令和元年、アルバイト人気勢力図が激変!
我々、ツナグ働き方研究所は、毎年「アルバイト採用ブランド力ランキング」を発表しています。
2019年は、そのランキングに大きな変動がありました。
ここ数年、人気だったアルバイトブランドが順位を落とす中、1位となったのが100円均一ショップ、いわゆる“ヒャッキン”の「セリア」です。同業の「ダイソー」も2位となり、ヒャッキン業界がアルバイトの職場を席巻しています。
1位 セリア(17位)
2位 ダイソー(7位)
3位 イオン(15位)
4位 無印良品(12位)
5位 ユニクロ(19位)
6位 カルディコーヒーファーム(6位)
7位 東京ディズニーリゾート(4位)
8位 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(10位)
9位 クスリのアオキ(16位)
10位 マクドナルド(3位)
トップ10は上記のとおり。ちなみにカッコ内表記は昨年の順位です。
5つのブランドがトップ10圏内をキープし、5つが新たにランクインしています。この入れ替わりだけをとっても、今年のランキングは波乱の様相です。
トップ10の業界に目を向けてみましょう。
ワンツーフィニッシュの100円均一ショップをはじめ、スーパー、雑貨、アパレル、ドラッグストアと、小売業のブランドが7つも入っています。ちなみに昨年は、小売業は3つでした。むしろ幅をきかせていたのは外食系だったのです。カフェ系ブランド3つをはじめ外食業で5つランクインしていました。
しかし、今年はマクドナルドが辛うじて10位に入ったのみ。我々は、このランキング結果をベースに働き手へのインタビューを実施し、その理由に迫ってみました。
今年の外食業の人気が低下したのは、どうやらバイトテロの影響が関係していそうです。
切り身になる前の魚の塊をゴミ箱に捨てるというショッキングな映像がテレビで繰り返し流れたのは、今年の2月。同じような悪ふざけ動画が次々とアップされ、バイトテロが社会問題になったのは、ご存知のとおり。当然のことながら外食チェーンは、食品衛生管理に敏感になります。
その影響もあって、勤務中のレギュレーションが著しく厳格になったのです。「髪の毛が長すぎると不衛生だから切れといわれた」「ピアスもネイルも禁止」など、息苦しくなる規律に嫌気がさしたという声が多く聞かれました。これが、食品を扱わない小売業への人気シフトの一因です。
もうひとつが、カフェ人気の凋落。その代表格がスターバックスコーヒーです。昨年は1位。ここ数年上位に君臨してきたキラキラバイトの代名詞が、今年はなんと18位。ここ数年の出店加速戦略によって、さすがのスタバも特別感がキープできなくなってきた模様。
サードプレイスを標榜するスタバの店内は、ゆったりとした空気が流れています。大声でクレームを言うお客さんなんか見かけたことがありません。ノマドワークに勤しむビジネスパーソンも、心なしかマックユーザーが多くシュッとしている印象があります。
ところが、今回のインタビューでは「店舗が前ほどオシャレじゃない」とか「ベビーカーでやって来るママさんが多く、これじゃファミレスと変わらない」とか、大衆化したスタバに魅力を感じなくなったという声がたくさんあがりました。客層は、スタバブランドを維持する大きなファクターだったのです。
また中には、「『意識高い系』が集まった職場なので、自分が働くイメージが持てない」と、そのブランド力を揶揄される傾向も散見されました。
このあたりは、“目立ちすぎると仲間はずれにされる”的な最近の若者意識が反映されていそうです。それにしても、一斉にスタバの魔法が解けたかのようでした。
100円均一の躍進、小売業で一人負けのコンビニ等、職場の魅力の変遷について語るべきはまだまだありますが、それは次回に譲るとします。
いずれにせよ、今回のアルバイトブランドの勢力図の変化から、働き手の志向の変化には、その業界のビジネスモデル、あるいは企業の戦略が大きく反映されているのだ、と改めて気づかされた次第でした。
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担当 :和田
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