
【多様な働き方を研究するコラム】
2020年、採用ブランディングのススメ
毎年、大量の旅行客が押し寄せる春節のシーズン。
しかし今年は、新型コロナウイルスによる肺炎が猛威を振るう異常事態となり、その深刻な事態が連日報道されています。
そんな世界中を震撼させるニュースが駆け巡る中、瞬間最大風速的には同じくらい列島をにぎわせてしまったのが、某イクメン俳優の不倫報道でした。
彼は、大物俳優を父に持つ女優と結婚。その妻が双子の女児、翌年には長男を出産。
夫である彼は、育児に積極的な様子がメディアでも取り上げられるようになりました。
爽やかなマスクに「イクメン」というブランドが加わり、人気が上昇していました。
しかし今回の報道で、イクメン俳優としてのブランドは失墜してしまいました。
本コラムで、この不倫報道について多くを語るつもりは毛頭ありませんが、改めて実感したのが、“ブランド価値”についてです。
今回の報道が、他の芸能人ゴシップにも増してここまで注目を集めるのは、イクメンでよき夫としての「ブランド」と真逆な実態が明るみに出たからです。
イメージとのギャップに対するファンの反感は凄まじいものがありました。
このことは、逆説的にブランドが持つパワーについて示唆しています。
一般的に企業は、自社とライバルの差別化を、ブランドによって図っています。
当然ながらブランドが持つ知名度や信頼感などの無形の価値が強くなるほど、圧倒的優位性を獲得していくことができます。
イクメン俳優の彼も、そのブランド価値が確立されたことによって、ミニバン、生活用品などファミリー向け商品のCMから引っ張り凧状態でした。
空前の人出不足。
間近に迫る東京五輪と働き方改革による労働規制が、2020年の採用環境をさらに混乱させる中、どうすれば人が採れるのか。 この解のひとつが、実は「ブランディング」にあるのではと思っています。
ブランディングの有効性を後押しするのが「働き手の価値観変化」と「テクノロジーの進化」です。
ある調査で就職活動をする学生の志向を聞いたところ、「ワークライフバランス」と「社会貢献意欲の高さ」を重視する学生が多かったとのこと。
特に最近の若者は「価値志向」「社会貢献欲求」に敏感な世代です。
給与がいい会社より世の中の役に立つ会社で働きたいという風潮が高まっています。
もちろん大手ブランドは根強いものの、自社の「らしさ」をブランディングすることで、ジャイアントキリング的な採用成功事例もあります。
例えば社会課題に向き合う姿勢、あるいは手厚い社内制度、そこに賭ける思いなどがしっかり伝わっていけば、大きな採用ブランド力を獲得できます。
もうひとつの理由が、テックの発達による伝搬力の拡大です。
採用手法をもっぱら大手求人メディアに頼っていた時代から、採用ホームページやSNSを駆使する時代に変わってきています。
採用ホームページをきちんと作れば、定型フォーマットの枠に中で自社を語るより、はるかに自由度高く「らしさ」や「魅力」を伝える力を手にできます。
またウエブマーケティングによって、いままで届かなかった求職者に情報を提供することも可能になります。
いわゆるダイレクトリクルーティングというやつですが、採用ブランディングとの親和性は極めて高いと思われます。
もちろん、自社のらしさや魅力を正しくあぶりだしていかなければ、現社員の実感と乖離し、採用できたとしてもすぐに辞めていくことになるでしょう。
イクメン俳優ブランドが、表層的でありその実像は違った。
結果、ブランド失墜。
今回の騒動が、まさにそのことを教えてくれます。
がしかし、現社員が採用ブランドで打ち出す「らしさ」を実感し再認識できれば、その企業で働くことに自己肯定感や幸福感を感じる社員が増え、それが、さらに採用ブランドを確固たるものにしていく、という理想的なスパイラルが生まれていきます。
つまりは、本質的な企業価値自体の向上に寄与してくれるのです。
採用ブランドは一朝一夕で確立されるものではありません。
だからこそ、ホンキで取り組むべきタイミングにあるのだと確信します。
◆本件に関するお問い合わせ先
担当 :和田
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