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ツナグ働き方研究所

03 COLUMN2017.11.15

  • コラム

    【店長応援企画・店長のミカタ】
    クックビズ藪ノ賢次氏×ツナグ働き方研究所 所長 平賀

    おもてなしの国ニッポン。その世界最高峰のサービス力を支えるのは、間違いなく、現場を仕切る店長。日本のお家芸ともいえる「飲食業界」を牽引する主役たちが、どのように働き、どのようなキャリアを積んでいくのか。21世紀のニッポンの働き方を考える上で、この命題は非常に重要なイシューです。
    今回は、飲食業界に特化した人材マッチングサービスで成長を遂げるクックビズ株式会社の代表取締役社長CEO藪ノ賢次氏にお話を聞きました。「フード産業を人気業種にする」というビジョンを掲げる同氏に、日本の飲食業界に対する課題意識、またキーパーソンである店長への熱い思いなどを、思う存分語ってもらいました。
    飲食系の専門学校生と飲食店とをつなげるという発想から始まった

    平賀

    クックビズは、そもそもは飲食系専門学校の生徒と、スタッフを募集する飲食店との間で人材マッチングがうまくいっていないというところに着目してサービスを開始したとお聞きしました。そもそもどういう経緯で、そこに着目されたのですか?



    藪ノ

    もともと僕は両親の実家が和歌山にあって、母方が寿司屋、父方が漁師の家だったんです。あまり僕の起業のきっかけとは関係ないんですけど、そういう家系に育ったもので、僕がまだ小さい頃は、実家の寿司屋もかなり繁盛していて、夏休みに帰省するたびに、そのにぎやかな光景を見ていたんですよね。それで漠然と飲食は流行る、儲かるっていう記憶が植え付けられたんでしょうね(笑)。



    平賀

    少年時代から潜在的に飲食業に魅力を感じていた部分があると。それがどう現在のビジネスにつながったんですか?



    藪ノ

    起業しようと考えた時に、飲食業界はその当時から人手不足だったこともあり、ビジネスチャンスがあるように思えたんですね。それでマッチングビジネスはまず人を押さえないと成功しないだろうということで、学校に行けば飲食業界でバイトしたいという子はいっぱいいるんじゃないかと考えたんです。そこで知り合いにお願いし、レコールバンタンという食の専門学校があるよと教えてもらい、実際に学校の方とお話させていただいたのが最初ですね。



    平賀

    専門学校サイドは最初から好感触だったんですか?



    藪ノ

    専門学校は、授業はもちろん就職活動もしっかりサポートするけれど、さすがに在学中のアルバイトまでは面倒見られないわけですよね。生徒さんに聞いてみたら、当時は近所のコンビニとかイベントの短期バイトとかやってる人が多かったんですけど、本来なら飲食の勉強をしてるんだから、アルバイトだって飲食で皿洗いとか接客とか経験しながら、自分の適性を見た方がいいのになと思ってたんです。先方も「なかなかそこにいかないんだよね」みたいな話をしていたので、「じゃあ僕はそういう求人を集めてくるので、学校で説明会を開いてもいいですか」っていうところからスタートしました。後からそれが「インターン」っていうものらしいって気付いていったんですけど(笑)。



    平賀

    一方で飲食店の情報をたくさん集めてくるのは難しかったのではないですか?



    藪ノ

    飲食業界って、お客として行って突破口を開くことができるという点で、他の業界より間口は広いんだと思うんです。オフィスワークの企業だとフロント突破はなかなか厳しいけど、飲食店ならお客として飛び込めば「いける」っていう手応えも感じられるし。ストーリーもすごく伝わりやすいんですよ。「パティスリー科に在籍してパティシエになりたいという生徒がいて、まずは販売でお客さんの気持ちを理解するところから始めたいので、接客スタッフとしてこの子どうですか?」と具体的に提案すれば「そりゃほしいよ」ってことになりますから。



    平賀

    求職者として専門学校生を抱えているって、確かに説得力ありますね。



    藪ノ

    極端な話「クックビズ」って言っても誰も知らないけど、「レコールバンタンの専門学校生が」って言えば、開拓しやすかったというのはありますね。


    飲食業界の人材マッチングで現実に見えてきた課題

    平賀

    同じようなマッチングビジネスを立ち上げた競合他社もあったと思うのですが、その中でもクックビズが抜きんでていたのはどういうところだと分析しますか?



    藪ノ

    やはり「マッチング」から入ったのがよかったんだと思います。最終的には人の手で、自分自身で面談した「この子は」っていう子をお店に連れて行ってましたから。当時から面接同行もしてたんですよ。社会に出たことのない、まだモラルもマナーも知らない子たちですから、「俺が立ったらお前も立てよ」みたいなことから細かく指導して。



    平賀

    飲食店サイドの啓蒙とかは?



    藪ノ

    「面接に行ったけどシャッター降りてました」とか「面接した次の日に倒産してました」とか、めちゃくちゃなことが起きるんですよね(笑)。



    平賀

    ちょっとすごすぎます(苦笑)。



    藪ノ

    面接でも、いきなり「いつから来られるの?」みたいな質問をする人が多かったんですけど、いやいや、その前にお店の説明してくださいよって(笑)。当然あるべき会社説明、店舗説明、求める人物像みたいなセオリーをすっ飛ばして、「週何回入れるのか」みたいなところから入る面接をしてたら、いい人は採用できないですよと。当時は、僕も見よう見まねで「こういうふうにしたらいいと思います」とか「面接者はもっとこういう話を聞きたかったらしいですよ」みたいな感じで、両者を気持ち良くつなぐためにはどうしたらいいのかを考えて、この10年間くらいやってきてるわけで、そこが事業のコアコンピタンスになっている自負はあります。



    平賀

    見よう見まねとおっしゃってましたけど、学生さんには一般常識を教えながら質問もして、企業側からは答えを引き出して、そういう面接のノウハウはどこで身に付けたんですか?



    藪ノ

    例えば同じ雰囲気のイタリアンレストランがあったとして、片方は相当レベルの高い面接をしていて、調理での求人だったらテスト調理みたいなことまでやっていたりする。片や「いつから来られるの?」的な面接で終わっていて、そこにはかなり個体差があるわけですよね。その中で僕も学んでいったりもしました。「本当にちゃんとやってるところはここまでやってますよ」って、ある程度まで基準を上げていくようなことを言うようにして。



    平賀

    まさにPDCAが自分の経験の中でも回ってたんですね。


    店長の仕事ってとても重要なのに、誰にでもできると思われているのが諸悪の根源

    平賀

    クックビズが成長していく中で、「フード産業を人気業種にする」というビジョンを打ち出したことは、とても意義深いことだと思っているんですが、当初からそのビジョンをお持ちだったんでしょうか。



    藪ノ

    どんなに魅力的なお店でも、いい店長のところなら続くけど、悪い店長のところに行けば、どんな優秀な人材でも辞めてしまいます。飲食業界は人のトラブルがあまりにも多いんですよね。人間関係のいざこざなどが原因で辞めていってしまうので、この課題は僕たちのビジョンにも、直接関係するものだと捉えています。



    平賀

    今、店長に必要な素養ってどんなことだと思いますか?



    藪ノ

    店長を見ていて「すごいな」と思うのは、そこそこ大きい店舗だったりすると50人くらい部下がいるんですよね。これって中小企業の平均の規模感を超えてしまっているわけで、本来は社長になるくらいの能力が必要なはずだし、やりがいがあるものなんだけど、どうも店長の仕事は退屈だとか、なんとなく「やらされ感」を感じている人も少なくないですよね。



    平賀

    確かに、ある意味では社長の仕事ですよね、店長の仕事って。



    藪ノ

    だけど、そんな「やらされ感」のまま50人の部下の上に立ったら、そりゃおかしなことになりますよ。50人の上に立つ人なんだから、飲食のこと以外にも、文化、芸能、あらゆることに精通してないといけなくて、すごく重要なポジションなわけですよね。一般の会社なら部長クラスでも部下は十数人っていう会社はいくらでもあります。本来ならば彼らよりも人間力が高くないといけないし、バランス感覚やマネジメント力やコーチング力、いろんな素養が必要なんです。それなのに、退屈だし誰にでもできる仕事だっていうふうに思われているのが諸悪の根源だと思うんですよね。



    平賀

    そのあたりの問題意識も、ビジョンに掲げる「フード産業を人気業種にする」につながっていそうですね。



    藪ノ

    ですね。



    平賀

    一方で、単純に忙しいというのもあるけど、メガチェーンの店長の場合などは、店長がやるべき、決めるべき決裁権がどんどん減ってきて、完全にパッケージ化されて、単なるプロセスの一部みたいになっているという話も時々耳にします。



    藪ノ

    ただ、その流れは雇用のセーフティネットとしてはありだと思うんですよね。今、非正規雇用で生活が苦しい、シングルマザーで困ってますっていう人が増えている中で、社会的弱者の労働環境として「安心してこのプラットフォームに乗ってください、そうしたら500万円稼げます」っていう環境は、僕は絶対あるべきだと思っているので、それはやりましょうと。



    平賀

    雇用のインフラを担う「懐の深さ」は重要な役割ですね。



    藪ノ

    とはいえ、もともと「食」っていろんな可能性を秘めているもので、そこはやっぱり誰かが違う形で、それだけじゃないよっていうクリエイティブを見せていかなきゃいけないと思っています。雇用のインフラ的な構造と、新たにハックしていく集団が新しい「飲食」の可能性を示していくという潮流もある、というような。



    平賀

    二極化だと?



    藪ノ

    いや、その間に、これまでのレールの中で調理や接客の技術を磨いてきた職人的な人たちが今後どうしていくのかっていう課題はありますね。そういう人たちはチェーンで働くのも何か違うし、その人自身はハックする意思や技術もないっていう時に、じゃあみんな独立すればいいかといえば、それは難しいと思うんです。



    平賀

    なるほど。そうした経験も技術も十分にあって、でもその先のキャリアを思い描けないでいる層の課題感こそが、今一番リアリティがあるように思いますね。


    調理の職人、接客のプロがフリーランスで生きていくというキャリア・イグジット

    藪ノ

    その人たちが、他業種でいえばフリーランサー的に生きていける仕組みを作らなきゃいけないなとは思っているところなんですよ。



    平賀

    僕も、飲食業界でもフリーランサー的な働き方というのは、これからもっとあっていいと思っています。それこそ新店オープンの時にコンサル的にお店に入って立ち上げを成功させる役割を担う人も、すでにいますしね。



    藪ノ

    そうですね。彼らを常勤で使うとなると重いんだけど、イニシャルとしてその人たちに50万、あるいは100万円払ってでも力を借りたいみたいなニーズはあるはずなので、そういうキャリア・イグジットもありですよね。もしくは職人集団としてお店を一つやってください、とか。彼らは料理を作るのが好きで、「今日はこれが入ってますよ」とか、コミュニケーションを取りながら、お客さんを満足させることに喜びを感じる人が多いから。それはもしかしたらクックビズでやっているビジネスをより洗練させていけば、より良い店舗や企業にキャリアパスをしていけるような仕組みができるかもしれないと考えているところです。



    平賀

    今の店舗で働いていて充実感があって、でもこの先どうするんだっていう不安もあるから、それをさまざまな方向に広げられるようになればいいですよね。どうすれば彼らにポテンシャルや可能性を提示してあげられるか、僕もいつも考えているんですけど。



    藪ノ

    まずロールモデルを提示してあげることはもっと必要でしょうね。例えば調理をやっている方でも、経営は自分でやるのかパトロンがいるのか、いろんなパターンがあると思うんですけど、その人のやりたいことを聞いてあげて、どこまでやれば無理がないのかとか──。その辺はキャリアコンサルでやれるものなのかどうか、僕自身もまだ分からないんですけど、現場で働きたいという人が、できるだけ長く働き続けられる仕組みはあってもいいかなと思ってます。



    平賀

    今のお話を聞いて、改めて「フード業界を人気職種にする」というビジョンへの熱い思いを感じました。しかもその思いが、最近クックビズが力を入れてらっしゃる求人領域以外のサービスへと一直線でつながっているんだというのも理解できました。今日は飲食業界の課題点と、それを解決していくためのヒントをたくさんいただいたような気がします。お互いの役割は違いますが、僕も飲食業が人気業種になるようにと願う一人なので、今後も一緒に盛り上げていけたらいいですね。今日はどうもありがとうございました。


    ◆本件に関するお問い合わせ先

    ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
    担当 :和田
     ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。