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ツナグ働き方研究所

03 COLUMN2018.05.14

  • コラム

    【店長応援企画・店長のミカタ】
    第13回S1サーバーグランプリ最優秀賞・藤井将一さん

    おもてなしの国ニッポン。その世界最高峰のサービス力を支えるのは、間違いなく現場を仕切る店長。日本のお家芸ともいえる「飲食業界」を牽引する主役たちが、どのように働き、どのようなキャリアを積んでいくのか。

    今回は、NPO法人繁盛店への道が手掛ける「第13回S1サーバーグランプリ」で、約700名のサーバーの中から見事グランプリに輝いた「港町酒場もんきち商店 新さっぽろ店」の藤井将一店長にお話を聞きました。飲食店への思い、おもてなしの極意、スタッフマネジメントの在り方―若きカリスマ店長が語る一つ一つの言葉には、熱い魂が宿っていました。


    思い立って消防士から飲食業へ転身

    平賀

    藤井さんは飲食業界に入る前、消防士だったそうですね。飲食業界へ転身されたのはどんなきっかけだったんですか?



    藤井

    僕、もともと夢が3つあったんです。1つは消防士、もう1つが先生、そして、僕の家系が飲食業を営んでいたこともあって、いつかはそれもやってみたいなと。それで、母子家庭だったので、すぐにお金を稼ぎたかったこともあり、まずは消防士になりました。



    平賀

    消防士の仕事って実際どんな感じなんですか。



    藤井

    まず配属されたところの上下関係がハンパなかったですね(笑)。それでもなんとか乗り切りました。ただ、それとは別のところで、「もっと人を笑顔にできる仕事がしたいな」と思うようになって。消防士の仕事はもちろん、究極のところで人を幸せにしている仕事ではあるけれど、自分としてはもっとささやかなところで、人を笑顔にするような仕事がしたいと思うようになってきたんです。



    平賀

    それで飲食業界に?



    藤井

    常連客として7-8年は通っていた僕の夢を叶えるために、「じゃあアルバイトとしてやってみるか?」と言ってもらえました(笑)。



    平賀

    それが株式会社ラフダイニングへの入社のきっかけなんですね。



    藤井

    はい。こころよく受け入れてもらって。でも最初に配属された店は、自分が通ってたお店ではなかったんですけどね。



    平賀

    料理に対して思い入れの強い女性店長のお店だったんですよね。



    藤井

    そこで1ヶ月働いて。その後、その女性店長から本社にフィードバックがいくんですけど、その店長は僕の働きぶりをしっかり評価してくれたんです。



    平賀

    温かいですね。



    藤井

    そのときの評価資料をチラッと見ると、「私なんかより、もっと大きな背中を見せてあげた方がいいと思う。せっかくの伸び代が、このままここにいては小さくまとまってしまう」みたいなコメントが書かれてて。ありがたかったですね。うれしかったです。



    平賀

    めちゃめちゃいい話じゃないですか。


    飲食業はもはや仕事ではなく自分の生き方そのもの

    藤井

    それで、社長が自ら僕の働きぶりを見にきたんです。1日だけ一緒に働かせてもらいました。そこでちゃんと評価してくれて、その1ヶ月後には本店に配属になって、現・専務の後任店長として抜擢されました。



    平賀

    ものすごいスピード出世ですよね。



    藤井

    はい。その後は、影響力が強い店長の後任を任せていただくことが多かったですね。



    平賀

    そういう仕事はやりがいもあるけど、しんどいですよね。



    藤井

    そうなんです。だって、常連さんにしてもスタッフにしても、みんな前任の店長のことが大好きなわけですよ。僕はそこに後から入っていって。でもお客様やアルバイトには恵まれて、いいお店作りができた。そうやって結果を出していったし、その後は統括店長として、同時に2店舗を任されたりもしましたね。



    平賀

    今後のキャリアとしてはどういう道に進んでいくんですか?



    藤井

    実は、今年の9月末で独立することが決まっているんです。



    平賀

    えっ、辞めるんですか?



    藤井

    はい。ラフダイニングの独立支援制度の第1号として現在の本店の店舗を譲り受けて、個人経営の店として営業していく予定です。本当にありがたい話で。



    平賀

    独立は、新しいチャレンジですね。



    藤井

    正直、僕にとって飲食店はもう「仕事」じゃないんです。僕の生き方そのものです。だから失敗してもいいと思っているし、もう勝たなくていいんです。成功・失敗の概念はなくて。



    平賀

    そこまでの思いはどこから?



    藤井

    実は僕、去年、事故で入院してたんですね。その入院中の出来事が大きく自分を変えました。これまでイケイケでやってきてるように見えても、自分に自信が持ててなかったんです。でも、1ヶ月弱の入院中に、お見舞いに来てくれたお客さんが、なんと267人もいて。そのときに初めて、「ああ、みんな愛してくれていたんだな」と。この人たちは僕を必要としてくれていた。そう思ったら涙が出てきました。



    平賀

    店主が入院したからといってお見舞いに行こうと思うほどのお店があるって、お客さんからしても幸せなことなのかもしれません。



    藤井

    自分もそんなお客さんたちのことを愛してたんだなあって。それで初めて自分のことも好きになれたし、自分が自分を好きになれずにいるなんて、この人たちに申し訳ないことなんだなと。


    普段通りの自分で勝ってこそS1の意味がある

    平賀

    その思いをきちんと持って望んだ今年のS1では、見事に優勝を果たしました。これは確実にグランプリを狙って準備をしていった?



    藤井

    そうですね(笑)。ただ、その場限りのプレゼンテーションではなくて、日々行っているサービスがしっかり認めてもらえるような評価がほしいと思いました。日々の営業終わりに、その日起こったことをシチュエーションとして、あらためて思い返すということ、それを自分の中にちゃんとストックしていくことを意識しました。普段通りの自分でグランプリを取りたかったんです。



    平賀

    それはある意味、S1の本質にも迫る考え方ですよね。



    藤井

    そうです。いつもの接客をやって優勝してこそ価値がある。スピーチも嘘なく全部自分の本心を伝えて、それで勝てたら初めてお客さんに恩返しができるんじゃないかって。こうやって自分のやり方を貫いて勝てたことは、S1に今後チャレンジするみんなにとってのやる気にも、つながったんじゃないかと思います。



    平賀

    現在店長をされている店舗の話もお聞きしたいのですが、そちらでのアルバイターの採用はうまくいっていますか?



    藤井

    お陰様で、アルバイトはいま全部で11人いて、人手が足りないということはないですね。主に学生が多いので、先日も就職が決まると同時にバイトリーダー的なポジションのスタッフが2名辞めていきましたが、その分、また紹介で入ってきてくれたり、お客さんから「うちの息子を働かせてほしい」と言ってくださったり。



    平賀

    この人手不足の中、それでも人が集まる理由、学校卒業まで辞めずに続けてくれる理由って、ご自身ではどう感じていますか?



    藤井

    シンプルに「愛」だと思うんですよね。僕はスタッフを死ぬほど愛しているから、スタッフも愛してくれる。「愛されてる」と思えば、仕事の中で注意することがあっても「怒られている」とは感じずに、「自分のためにアドバイスをしてくれている」と思ってもらえます。要は信頼関係。愛がなければ10しゃべっても、1も伝わらないけど、愛し合っているなら、言葉が少なくてもちゃんと10伝わるようになります。



    平賀

    なるほど。ただ雇うだけじゃなくて、店長として人として、全力で接するんですね。



    藤井

    さっきの卒業した2名のスタッフの話ですけど、その子たちがバイト最後の日には、たかだか21歳の男2人のために、常連客が79人も駆け付けてくれたんですよ。そういうのを見てたら、自分もここで働きたいって思うだろうし、その子たちだって「いい店だからバイトしてみなよ」って、自分の後輩にも胸を張って紹介したくなるんだと思います。



    平賀

    藤井さんの飲食店に対する思いが、そこできちんと実践されている証拠ですね。



    藤井

    社会に出たときに一番役立つのはアルバイトの経験だと思うんです。中でも居酒屋での仕事は、どんな職業に就くことになっても、すごく有意義な経験だと思います。


    コミュニケーションは質より回数が重要

    平賀

    信頼関係を築けるように叱るコツって何かありますか?



    藤井

    まず、何か問題が起こったら、小さなことでもその場ですぐ言わないとダメですね。だから最初は怖がられます。でも、その倍くらいの回数で、その後もポジティブなコミュニケーションを取り続けます。何でもいいんですけど、話す回数を増やすんです。



    平賀

    重要なことを一言だけ、というのではなくて会話の回数が大切?



    藤井

    間違いなくコミュニケーションは質よりも回数だと思います。その積み重ねが信頼関係につながると思いますね。そうするとお店で働くのが楽しくなってくるし、楽しいからもっと仕事を覚えたいと思う。それがお客さんにも伝わっていくと、より愛されるスタッフになるし、プラスの循環が生まれていくんですよ。そしたら僕はもう何もしなくてよくなりますね。



    平賀

    今年本店を譲り受けて独立されるときにも、アルバイトは新たに雇う予定ですか?



    藤井

    うーん。今度は個人経営の小さな規模でやるつもりなので、もし雇ったとしても1人だけ、とか、そんな感じですかね。



    平賀

    なんだかもったいないような気がしますね。藤井さんのような店長さんには、もっとアルバイターを育ててもらいたいとも、勝手ながら思ってしまう。



    藤井

    そこで、最初に話した僕の3つの夢のうちの、まだ叶えていない「先生」という仕事につながるんです。僕は飲食店をやりながら、そうしたスタッフ教育についてはセミナーとして展開していきたいと考えています。思えば消防士としての経験では、人としての礼儀・礼節を学んで、飲食店では人との関わり方、おもてなしの気持ちを究極に学ぶことができました。今度はそれを人を巻き込みながら伝えていくということで、飲食業界に限らず、広くその考え方や教育方法を伝えていけたらいいなと考えているところです。



    平賀

    なるほど、夢の完全制覇だ。



    藤井

    自分がやるお店は今度は個人店で、仕事というより自分の生き方の一つとしてやっていくんですけど、人に接遇や人間力を伝え、教えていくということは、別に自分の店じゃなくてもできることなので。



    平賀

    そういう意味でもS1での経験や実績は、役立ちそうですね。



    藤井

    ほんとに、ありがたいきっかけの一つになりました。お客さんを元気にすることが地域活性でもあると思うし、それをセミナーや教育、研修という形で後押しできたらいいなと。それが恩返しになればいいなと思っています。それが理想的な形で完成したとき、僕は初めてやりきったと思えるんじゃないでしょうか。



    平賀

    先ほどおっしゃっていた「飲食業での経験はどんな仕事にもつながる」っていう言葉、それを藤井さん自身が実践しているから、すごく説得力があります。これからも飲食業界を活気付けるようなご活躍を期待しています。今日はありがとうございました。


    どこまでも熱い藤井店長は、まさに「漢」という文字の似合う人だった。しかし一方で、熱いだけでなく彼が発する言葉は、非常にシャープで理論的だった。だからスタッフにも分かりやすく伝わるのだろう。彼のお店で、アルバイトの学生さんがヒーローになるのもうなずける。

    彼は日々の営業終わりに、その日起こったことを振り返り、自分の中に構造化してストックする。たくさんの知識や経験がメソッドに昇華されていくからこそ、自らの実践だけでなく店舗全体のチカラを底上げできるのだ。

    取材を終えた時、藤井店長からは「たくさん話して、自分の考えがあらためて整理できました」という言葉が出てきた。彼はインタビュー中ですら仕事について反すう・構造化作業を怠っていなかったのだ。これこそが日本一店長の真骨頂なのだろう。学びの多いインタビューであった。


    ◆本件に関するお問い合わせ先

    ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
    担当 :和田
     ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。