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ツナグ働き方研究所

03 COLUMN2018.08.15

  • コラム

    【店長応援企画・店長のミカタ】Emotion Tech・今西良光さん

    おもてなしの国ニッポン。その世界最高峰のサービス力を支えるのは、間違いなく現場を仕切る店長だ。日本のお家芸ともいえる「飲食業界」を牽引する主役たちが、どのように働き、どのようなキャリアを積んでいくのか。
    今回は、最近多種多様なサービスが登場してきた「HRテック」の中から、「エンプロイーテック」というサービスを取り上げてご紹介したい。端的にいうと、職場の活性化を図るために、従業員活性化を指標化・可視化し、ソリューションにつなげるサービス。これまで属人的なマネジメントが横行していた現場にテクノロジーを組み込むことで一石を投じる。エモーションテック社を率いる今西良光氏は、自身のユニクロ店長時代、すでに職場活性サービスの青写真を描いていた。その本質に迫る。
    「NPS」の考え方を知り エンプロイーテックのソリューションへと展開させる

    平賀

    今西さんが現在の会社を起こして、「エンプロイーテック」についてのサービスをスタートさせようと思ったきっかけを教えてください。



    今西

    僕は実は前職で、ユニクロの 店舗マネージャーをやっていたんです。そこでスタッフがイキイキ働ける職場を作って離職率を抑止するための試行錯誤をいろいろしていたんですが、それがなかなかうまくいかず悩んでいた時期がありまして。



    平賀

    具体的には、どういうところ で悩まれたんですか?



    今西

    とにかく店舗マネージャーの仕事は忙しくて、一人一人のスタッフに向き合ってマネジメントする時間がなかったんですよね。その結果、人材評価を適切に行うことができなかったんです。



    平賀

    スタッフ全員の仕事を見ている余裕がなかったんですね。



    今西

    そうなんです。結果として、 お客様に愛されているスタッフを昇給させてあげることができず、ソツなく仕事をこなす人だけが昇給する結果になってしまった。自分としてもそこにモヤモヤしたものを感じながらも、物理的にきちんとした評価ができない状況が続いたので、これを何とか打開したいなというのが、現在の仕事につながる大きなきっかけだったと思います。



    平賀

    そこで会社を立ち上げて、従業員モチベーション、従業員エンゲージメントといった、職場活性につなげるためのサービスを開始したんですね。初めはどんなサービスを?



    今西

    最初は、スタッフが別のスタッフのいいところを見つけたら、言葉にして褒め合うというアプリを作りました。



    平賀

    誰かの良い接客や機転の利いた対応など、ナイスプレー的な仕事を褒めることによって、その事例が従業員全員に共有されるという意味もありますよね。



    今西

    おっしゃる通りです。そのア プリ自体は非常に良いものだったと思うのですが、顧客にそのコンセプトは理解していただけても、ROI(投資利益率)を可視化することができないため、それを導入する費用対効果を証明しきれなかったんですよね。



    平賀

    現場でいくら良い手応えがあっても、決裁権を持つ人事本部を説得できないというのは歯がゆいですよね。



    今西

    そうなんですよ。「従業員の気持ちが見えるのはすごくいいんだけど」って、言われて(笑)。従業員のモチベーションやエンゲージメントといった、いわゆるES(従業員満足度)よりも、お客様が自社サービスに対してどう感じているかというCS(顧客満足度)の方が関心もプライオリティも、企業側からしたら、まだまだ高かったんですよね。



    平賀

    そのハードルをクリアするきっかけは何だったんですか?



    今西

    とある講演で「NPS」のことを知ったんです。ネットプロモータースコアの略で、意味合いとしては、顧客が企業やブランドに寄せる愛着や信頼を数値化して評価する指標という感じでしょうか。



    平賀

    言ってみればCSを測る指標って理解でいいですかね。


    顕在化しないニーズを探ること、そのための仕組みやデータを次の打ち手として提供する

    平賀

    CS(顧客満足度)=ES(従業員満足度)というのは、よく言われる考え方ですよね。スタッフが顧客満足を実感すれば、職場は活性化するし、そしてそれがまた顧客のさらなる満足につながるという、ものすごく本質的な循環ですよね。



    今西

    そうなんです。そもそもの起業のきっかけである「従業員がイキイキと働ける職場を作る」ということは、ES(従業員満足度)が上がることでCS(顧客満足度)に繋がるという前提にありました。



    平賀

    このNPSの考え方によって、より具体的なソリューションとして描けるようになったと。



    今西

    ユニクロ時代の話なんですが、「サンクスカード」を使いまくって業績を上げてる店長がいたんですよね。スタッフ同士の「サンクス」の事例を貼り出して、「毎日どれか一つはまねをする」宣言をして、3カ月続けたんです。そうしたら「褒め100」「クレームゼロ」をやり遂げたんですよ。まさに従業員同士のいい関係性が、お客さんに伝播して、CS(顧客満足度)が、上がった結果です。これが仕組み化できれば、世の中に価値提供ができると思いました。



    平賀

    それこそNPSの考え方と同じですね。シンプルだけど、すごい。



    今西

    そうなんです。われわれはその「仕組み」になり得るものを提供していると自負しています。



    平賀

    でも、例えばNPSを上げる ためのナレッジの展開は難しい部分もあるんじゃないかと思います。良いナレッジの定義は非常に感覚的なもののような気もしますし。



    今西

    確かにその通りです。顧客が「スタッフの声掛けが気持ち良い」とか、「笑顔で挨拶してくれる」とか、何気なく思っていることが、実は何度も来店する強い動機になっていることもあって、それはスタッフからすれば「当たり前」「大したことない」ことだと思いがちなんです。顕在化しないニーズを探ること、そのための仕組みやデータを、次の打ち手として提供できるのがわれわれの強みなんだと思います。



    平賀

    NPSというデータで見られ れば、感覚的なものがファクトとして企業側に伝播していきますよね。その解析のロジックを磨いてきたということですね。



    今西

    属人的な考え方では判断できないものもありますし、精度の高い打ち手は、人が感じたことをデジタルであぶり出すことによって見えてくるものだとも思います。


    「お待たせしてすみません」は 職場へのエンゲージメントが 高くないと出てこない

    平賀

    顕在化していなかったクリティカルなポイントをあぶり出して、そこを改善することによって感動価値を高める、つまりNPSを向上させるという仕組みというのは、具体的にどういう事例がありますか?



    今西

    とあるフィットネスクラブの事例なんですが、顧客への独自のアンケートによって、クラブのロッカールームやシャワールームにある鏡を、もっときれいにするべきという結果が出てきました──これも、直接そうした意見が出てきたわけではなく、顧客自身も気付いていなかったニーズを掘り起こすためのわれわれの独自メソッドによるアンケート調査の結果、見えてきたニーズなのですが。



    平賀

    なるほど。でも言われてみればフィットネスクラブは自身の体に向き合う場でもあるわけだから、そのために鏡がよく映るかどうかっいうのは、結構大事ですよね。しかも、言われるまではそれほど鏡がきれいかどうかということは気にしていないかもしれない。



    今西

    そうなんです。だから、企業側としても最初は「鏡をきれいにするくらいで、そんなに顧客のエンゲージメントは変わるの?」っていう反応なんですけど、それがファクトとして上がってくると、そこを改善するための動きができるんですよね。



    平賀

    そしてそれが、スタッフが鏡をきれいにする強いモチベーションにもなる、と。



    今西

    そうです。さらにNPSとeNPSとの関係性の事例で言えば、とある携帯ショップでの話も分かりやすいかと思います。



    平賀

    eNPS。また新しいのが出てきましたね(笑)。ぜひ詳しく教えてください。



    今西

    はい。NPSの頭に「e」が ついたeNPSは、エンプロイーネットプロモータースコアの略です。非常に簡単に言うと究極の従業員満足度を測る指標です。



    平賀

    NPSはCS、eNPSはE Sを測る指標で、それはどちらも表裏一体で連動するということですか。



    今西

    そうですね。例えば先ほど例として出した携帯ショップで説明しますね。お店のスタッフは、入って来たお客様に対して元気良く挨拶をするということ。そして、待っているお客様には「お待たせしてすみません」と声掛けするということ──。両者とも大事なことなのですが、後者の方は実はスタッフの職場へのエンゲージメントが高くなければ出てこない言葉なんですよね。顧客の側も同じく、後者の声掛けがあれば、より「配慮されている」と感じるんです。



    平賀

    eNPSが高いからその言葉が出てくる。そういう言葉がお客さんの満足を上げる。やっぱりeNPSが顧客満足度に直結するんですね。



    今西

    従業員満足度を上げることで 離職を防ぐためにも、スタッフと店長のコミュニケーション改善が大事なんて話になりがちなんですけど。サービスへのモチベーションと顧客満足の可視化をひも付けて考えることが重要だし、より収益に結び付けるためにはeNPSの考え方が必要なんです。


    HRテックは「働き方改革」を導くものでもある

    平賀

    あらためてお聞きしますが、今西さんが今考える「エンプロイーテック」のあるべき姿とは、どんなものですか?



    今西

    弊社の社名はエモーション= 感情と、テック=技術の二つを掛け合わせたものです。人の感情をテクノロジーで平面化するのではなく、人それぞれが持つ豊かな感情をテクノロジーでデータ化、解析することによって、誰もがイキイキと働ける社会を目指すということ。それで世の中を良くしていきたいんです。だから、「エンプロイー・エモーション・テック」って言いたいんですよ、本当は。



    平賀

    スタッフの気持ちにテクノロジーで寄り添うということですよね。



    今西

    その通りです。



    平賀

    エモーションテックの考え方は、もちろん人材の定着とか、離職率の抑止というニーズに応えるものなのですが、一方で、若い人がキャリアを描くときの、「ネクスト」というか、「やり直しができる」みたいな構造にもなってると思うんですよ。



    今西

    ああ、それは私もよく考えます。例えばA社の社風では自分の力がうまく発揮できなかったけれど、同業のB社でならとても輝ける、みたいなことはよくある話だと思います。企業は「自分たちの組織にマッチして高いパフォーマンスを発揮してくれる人」に長く働いてほしいはずですし、そこはもっとオープンにポジティブに「ネクスト」へ行ける仕組みができたらいいなと思っています。



    平賀

    飲食店などは特に、どんなに スキルの高いスタッフでも店舗によって合う・合わないは明確に存在しますよね。お店の個性があってのことですから、それは仕方のないことで。だから本当に自分の魅力や実力を発揮できる店や企業に出会うことって、実はとても大切なことだと思っています。企業間の情報のオープンソース化が進めば、幸せな「ネクスト」に効率的にたどり着く未来は実現可能だと思います。まだまだ難しいとは思いますが。



    今西

    日本全体の人事の仕組みを最適化すること──それが一番大変なことだと思います。そこは時間がかかるかもしれないですけど、少しずつ取り組んでいけたらいいですね。



    平賀

    HRテックはコスト削減や人材定着といった企業側へのメリットだけでなく、そこで得たデータや統計によって、日本の真の「働き方改革」を導くものでもあると考えています。われわれも手を携えながら、これからもより良い「働き方」を一緒に考えていきましょう。


    ES(従業員満足度)とCS(顧客満足度)の関係性については、ずっと語られてきたテーマである。それを精緻に測る指標が、テック時代に登場してきたのだ。それにしても数値化と可視化は、この時代のキーワードだが、見えただけでは状況は変わらない。離職率改善であるとか収益向上といった経営目線の果実にどう結び付けていくのか。今西氏もそれを強調していた。鍵は、データの解析とソリューションへの接続。それに尽きるのだ。


    ◆本件に関するお問い合わせ先

    ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
    担当 :和田
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