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ツナグ働き方研究所

03 COLUMN2018.11.14

  • コラム

    【店長応援企画・店長のミカタ】キープ・ウィルダイニング 保志真人さん

    おもてなしの国ニッポン。その世界最高峰のサービス力を支えるのは、間違いなく現場を仕切る店長だ。日本のお家芸ともいえる「飲食業界」を牽引する主役たちが、どのように働き、どのようなキャリアを積んでいくのか。しかし彼らが輝くためには、昨今の人手不足は看過できない喫緊の課題だ。
    今回は、株式会社キープ・ウィルダイニングの代表取締役、保志真人さんをお迎えした。同社は町田・相模原エリア(武相エリア)に密着して、多種多様な店舗展開を進める気鋭の会社だ。しかも店舗数を拡大していく中でも、しっかり企業カラーに合う人材を採用できている稀有な存在として、業界の注目を一身に集めている。その背景には、人件費やスタッフ教育に掛けるコスト、また福利厚生の充実など、人材への投資を惜しまない保志さんの思いがある。従業員を「仲間」として企業経営の舵を取る、その本質に迫ってみる。
    飲食での仕事に感じた「楽しい」気持ちと失望感

    平賀

    保志さん自身が、現在の会社を立ち上げようと思ったきっかけからお聞きしたいのですが。



    保志

    僕自身、以前は大手チェーンの外食企業にいたんです。そこがもうとにかく過酷な労働環境で、どんどん人が辞めていくし、辞めていく以前に「ダメになっていく」人が多かったんです。なんだか人間ではなく駒として扱われているみたいで、それがすごく嫌だったというのは、きっかけの一つかもしれないですね。



    平賀

    なるほど。でも一方では、飲食業というものに対して、充実感や楽しさみたいなものを感じていなければ、この業界で独立しようという気も起きないですよね?



    保志

    そうですね。飲食業での独立を志したのは、アルバイト時代の経験が大きいです。チェーン展開する居酒屋でのバイトでしたが、ちょうどバブル時代で、仕事場は戦場みたいでした。でもそんな中で、生ビールをいっぱい運んだり、活気あるフロアで働いていると、血が沸き立つような「生きてる」という実感が感じられたんですね。



    平賀

    アルバイトは、社会との最初の接点みたいなところもありますし、そこで充実感を得られたというのは大きい経験でしたね。



    保志

    父は会社経営をしていて、僕に会社を継がせようと塾通いや日々の勉強についても厳しく言われていたんですね。だからそこからの解放という感じでもありました。ここはなんて楽しいんだろうって(笑)。



    平賀

    それで、飲食業界に就職もしたものの、そこには失望感も感じていらして。起業されたのは?



    保志

    28歳でした。



    平賀

    現在の社風や理念に通ずるような、従業員を大事にする文化というのは創業当時から?



    保志

    少なくとも、僕がともに事業をスタートさせた創業期のメンバーについては、とても大切な仲間だという意識が強かったですね。僕がこれまで修行してきた中で出会って引っ張ってきた人たちでしたから。



    平賀

    仲間だから大切にする、というごくシンプルな思いが根底にあって、けれど、会社を興して、お店をオープンさせるというのは、少ない人数ならなおさら激務でしょうし、その中でもスタッフのモチベーションを高く保ちながら経営していくというのは大変だったのでは?



    保志

    その幹部たちとの創業時は、自分の働きぶりも含め、今で言えば「ブラック」だったと思います。でもみんなで一緒に、そういうところからのし上がっていくしかなかったし、それも楽しかったんですよね。


    長時間労働の是正のおかげで求められる社員像やマネジメントも変化してきた

    平賀

    創業時から残っている方は?



    保志

    12人です。創業15年ですが10年を超えているのは20人います。



    平賀

    移り変わりの激しい業界にあって、長くとどまる人が多いのは、なぜだと思いますか?



    保志

    やっぱり企業経営の目的の一つに「仲間」という思いがあるからでしょうね。成長過程で、苦楽を共にしたメンバーがいなくなっていってしまったら、何かを達成できてもそんなつまらないことはないので。メンバーの幸せが僕の幸せっていうのはかっこつけ過ぎかもしれないですけど、ただのお金儲けのためだけなら、仲間とか絆ということは考えないと思います。



    平賀

    保志さんにとって、社員や店舗スタッフは「仲間」だという意識が強いんですね。



    保志

    仕事ができる優秀な人だったらお金を積めば雇えるのかもしれないけど、一緒に歴史を共有して思い出を語り合えるような仲間は、いくらお金を積んだってもう出会えないじゃないですか。苦しい時期を共にしてくれた人が長く居てくれるのなら、大切にしなければと思うのは自分にとってはすごく自然なことでした。



    平賀

    その思いが、御社の潤沢な人的投資につながっているんですね。



    保志

    いや。創業メンバーだけなら、どんな状況でも挑戦して乗り越えていこうっていう、気合だけで進んでいけると思います。幹部だけでなく、社員やスタッフも、僕らのチームが好きだからついてきてくれてるという自負もあります。でも最近で言えば、直近で新卒採用した子たちは、そういう思いではいないわけで、従来通りの「気合で乗り切る」的なことだけでやっていては、彼らはダメになってしまうとわかったんです。



    平賀

    そこがターニングポイントなんですね。しかし結果的には「働き方改革」を先取りしたことになりますね。最近では、長く働くことが称賛される時代ではなくなりました。



    保志

    そうなんです。労働時間に関する考え方の変化が、いろんなことを変えていっています。必要とされる人材のイメージも変わってきたと思うんですよね。昔は体力があって気合が入っている人材がエースだったけど、今は働き過ぎは絶対ダメな時代。限られた時間でいかにクリエイティブな仕事ができるかになる。となると、強めのトップダウン型のリーダーよりソフトなボトムアップ型のリーダーの方が多くの人を動かせるし時代にあっていてうまくいきだしていますね。特に女性がリーダーを張り出しています。


    スタッフが早々に辞めることも今はマイナスには捉えていない

    平賀

    御社が新卒採用を積極的に展開し始めて何年くらいですか?



    保志

    5年前くらいですかね。最初の年に採用したのは4人でした。今は平均して20人程度の採用です。



    平賀

    その一番初めの4人は今も残ってらっしゃる?



    保志

    3人が在籍していて、1人は家業を継がなければいけなくなって退職しました。



    平賀

    3年のうちに約3割が退職するとか、こと飲食業界に限って言えば、新卒採用者はほぼ半数が2年のうちに離職しているというデータもある中で、やはり御社の人材定着率は非常に高いと思います。



    保志

    でも最近は、辞めていってもいいんじゃないかと思うようになりました。離職率が低いことが、昔は自慢でもあったんですけど、最近はそうでもないのではと。会社の哲学や社風に合う人は長く残っていくけれど、合わないのにそこにいる方がおかしいと思うんです。合わないのに無理するのも違うし、副業とか働き方も変わってきています。もっとも採用がうまくいっていればこそ言える事でもありますが。



    平賀

    御社だと、学生バイトの子が卒業後も新卒採用で社員として入社というパターンも多そうですが、それはいかがですか?



    保志

    去年は8名、今年は2名、来年新卒は7名います。また、お客様から採用したケースもあり、最近で7名採用しました。



    平賀

    飲食業界では、バイトと就職は別という学生さんが多い印象です。



    保志

    僕もそう言われると悔しいですよね。なんだか、「お付き合いすることはできるけど結婚はできません」って言われてるみたいで(笑)。



    平賀

    アルバイターさんへの働き掛けも積極的にされていますか?



    保志

    そうですね。アルバイトの社員登用と地元登用は積極的に促進したいです。だって本当は飲食業って母集団は社内にあり、欲しい人たちって社内に働いている訳です。それを外に採りにいく事自体がおかしい。



    平賀

    アルバイトとして働いた子たちが、何の迷いもなく「この会社に就職したい」と思ってくれる企業にしたいということですよね。



    保志

    はい。その子たちが中から見て「就職したい」と思えるような会社や現場である事が本物ですよね。中で働いている子が良いって言うんだから間違いない。外に良い会社だと言って採用活動し、中にいる子たちが外に出ていくのなら、やはりそれは本物の良い会社とはいえません。



    平賀

    地元に根差した御社だからこそ、そのエリアの方たちには強いブランド力があると思うんです。その強みというのは感じていますか?



    保志

    いや、まだまだ不十分だと感じます。「この会社で働かせたい」とご両親がおっしゃるくらいの会社にしていきたいですね。


    外食産業でのノウハウを活かし、「武相エリア」に根差した魅力的な街づくりを展開

    平賀

    今後は、飲食のみにとどまらず、コワーキングスペースやホステル・ホテル経営など、多角的に人と人とがつながるようなプロジェクトにも積極的に取り組んでいくイメージです。これはどういう発想から?



    保志

    僕自身、飲食というノウハウはもっと色々転用が利くと思っています。このテクノロジーの世の中になるのに至り、もっと人が直接接点をもてるためのインフラやプラットフォームづくりがしたいんです。



    平賀

    飲食をやっていて、ホテルやホステルの経営にも興味を持つ方は多いと思うんですが、保志さんの場合、この町田や相模原、いわいる「武相エリア」の街づくりに根差しているんですね。そこが全く違う。



    保志

    僕自身がこの「武相エリア」のリアル・ユーザーなので(笑)。僕がよく自虐的に言うのは、「引きこもり経営」っていう言葉で(笑)。わざわざ東京の都心に出て、死ぬほど混んでる電車に乗りたくないし。だから自分が行きたいと思う場所は、僕だけでなくみんな欲しいと思っているはず。そういう発想がビジネスになっているのだと思います。



    平賀

    地元重視の考え方と、保志さん自身のライフスタイルとが合わさって、キープ・ウィルダイニングの理念を生んだということですね。



    保志

    そうですね。それこそ、この土地の特性も歴史もすごく勉強しました。そうすると、自由民権運動が盛んだった歴史もあって、「自由」っていうのも一つのキーワードになりました。あと、町田には絹の道(シルクロード)と呼ばれる生糸を運んだ道が通っていたり、江戸時代には大山詣りの巡礼ロードもあって、文化のクロスポイントにもなってるんですよね。そういう背景もあってか、このエリアは非常に多様性に富んでいて、だからこそ「自由」とか「寛容」というキーワードが大切なんだとも思ったんです。



    平賀

    「自由」と「寛容」か。魅力的な街づくりや人づくりのヴィジョンが、すでに描けているんですね。



    保志

    僕の大切な人はほとんどこの土地にいます。その大切な人たちがいる街をもっと良くしたい。育ててくれたこの街をもっと誇れる場所にしたい。シンプルに言うと、ただそれだけのことです。



    平賀

    だからこそ、大切な人でもある従業員が幸せになるべく、社員教育や福利厚生には惜しまず投資をするんですよね。全てがつながりました。今日は濃密な時間をありがとうございました。


    「自分の好きな街に住む人や仲間がハッピーで、その人たちがいろんなことにチャレンジできて、家族を大切にしながら生きていける環境をつくりたい。だからまずは社内の従業員が幸せに働けるようにという思いで、会社は経営しているつもりです」。保志さんは、最後に、穏やかでいて熱のこもった口調で語ってくれた。彼の中では、街と仲間と従業員が、本当につながっているのだ。外食産業(にとどまるものでもないが)の、一つの究極形ではないだろうか。保志さんがリードするであろう、今後の「武相エリア」の発展にも注目していきたい。


    ◆本編資料(PDF)もしくは参考サイト(URL)はこちらから

    株式会社キープ・ウィルダイニング

    ◆プロフィール

    保志真人(ほし まさと)

    株式会社キープ・ウィルダイニング
    代表取締役

    ◆本件に関するお問い合わせ先

    ツナグ働き方研究所(株式会社ツナググループ・ホールディングス)
    担当 :和田
     ※お問い合わせは、お問い合わせフォームからお願いいたします。