Column

2018.06.14

【店長応援企画・店長のミカタ】店長向け働き方改革のヒント(前編)・日本アンガーマネジメント協会 戸田久実さん

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おもてなしの国ニッポン。その世界最高峰のサービス力を支えるのは、間違いなく現場を仕切る店長だ。日本のお家芸ともいえる「飲食業界」を牽引する主役たちが、その舞台となる店舗をどのようにマネジメントしていくのか。特に「働き方改革」の大号令が駆け巡る昨今。職場のホワイト化は、店長に課せられた最重要ミッションと言っても過言ではありません。
そこで今回は「ホワイト化」を実現する上で有効なマネジメント手法をご紹介します。

まずは前編として、スタッフがポジティブになる「叱り方」マネジメントを日本アンガーマネジメント協会・理事の戸田久実さんと、ツナグ働き方研究所所長・平賀の対談の模様をお届けいたします。

※後編 ホワイトに直結する「時短」マネジメントとは? らしさラボ伊庭正康さん

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スタッフがポジティブになる「叱り方」マネジメント

平賀
よく今の若者は「打たれ弱い」と言われます。言い方を誤れば「パワハラだ」ということになったり、「理不尽な怒られ方をした」と取られて、結果としてスタッフが辞めていってしまったり。当然、店長はブラックな職場をつくりたいわけじゃないけど、若い世代のスタッフを叱らなければいけない時、どのように向き合っていけばよいのか頭を悩ませる人も多いと思うんですよね。
戸田
スタッフの間違いをきちんと正してあげることは、店長として非常に大切なことですよね。
平賀
そこで、正しい叱り方というか、職場が円滑に回るコミュニケーション術という観点でお話を伺えればと思っています。
戸田
昨今はダイバーシティの時代とも言われますが、多様化が進む分、「こうすべき」という正解も人によって違うんですよね。そのギャップが怒りにつながるんです。
平賀
コミュニケーションツールの変化なんかも世代ギャップにつながるような気がします。昔は電話での会話が当たり前の時代でしたが、今はLINEですもんね。
戸田
そうなんです。LINEだと、極端に使用言語が少なくても会話が成立する時代。文字すら必要とせず、スタンプの応酬だけで意思疎通ができてしまいますし。だから電話の出方も一から教えてあげないと、若い世代は分からないんですよね。
平賀
そういうギャップを理解しても、やっぱりイラッときて、スタッフに怒りをぶつけてしまう店長さんもいるでしょう。店長は、そうした怒りの感情をうまくコントロールしていく必要がありますよね。
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「こうすべき」の正解は人それぞれ そのギャップが怒りを生む

平賀
本題ですが、ズバリ「怒り」とうまくつきあうためにはどうしたらよいのでしょうか。
戸田
まず、怒りに任せて行動しないということが一番大切です。怒りが湧いてきた時、「これは怒ってもよい場面なのか、怒ってはいけないところなのか」の線引きをすることが必要です。
平賀
その線引きのための具体的な方法はありますか?
戸田
怒りのピークは長くて6秒と言われていて、6秒間何とかやり過ごせば、怒りに任せた行動は取らなくなります。
平賀
6秒待つってことですか。
戸田
とはいっても6秒って意外と長いんですよ。で、反射的な行動に走らないようにするトレーニングや方法がいくつかあるんです。
平賀
それはぜひお聞きしたいです。
戸田
まず、湧いてきた怒りに「点数を付ける」という方法。例えば、0-10点の間で、「この怒りは3点くらいだから、声を荒らげて怒るようなものではないな」とか。
平賀
なるほど。スタッフに対して「何でテーブルが片付いてないんだ!」とか、怒鳴ってしまう前に、点数をつけることに意識を向けると、冷静になることができると。
戸田
コーピングマントラといって、自分自身が落ち着く呪文のようなものを決めておくのもいいですね。自分の好きなタレントさんの名前とか、かわいがってるペットの名前とか。できるだけバカバカしいのがいいです。アンガーマネジメントの研修を受けたある50代の男性は「テクマクマヤコン」って唱えてました(笑)。
平賀
秘密のアッコちゃん(笑)。確かに怒りが収まりそう。同年代として、共感できます(笑)。
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怒りの言葉ではなく「こうしてほしい」というリクエストの言葉を

平賀
そもそも職場で怒りを感じないようにするために、何か有効な手段はないでしょうか。
戸田
人は、自分が「こうあるべき」と思っていることが破られた時に怒りがこみ上げてくるんです。自分がどんなことに怒りを感じたか、ノートでもスマホでもいいので「アンガーログ」を付けていくことです。
平賀
飲食店の店長さんだったら、接客、清掃、料理の質など、どんな場面で自分がよく怒っているのかが分析できそうですね。
戸田
そうなんです。アンガーログからは自分の「こだわり」が見えてきます。さらに「こうあるべき」と思っていることを書き出す「べきログ」も付けることを推奨します。そして「べきログ」の項目に対して、「許せる範囲=OKゾーン」「何とか許せる範囲=許容ゾーン」「これは許せない=NGゾーン」という線引きを、あらかじめ具体的に決めておくといいと思います。
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平賀
例えば自分の「べきログ」の中に、「ドリンクは注文から1分以内に提供するべき」というこだわりがあったとしたら──?
戸田
「OKゾーン」はもちろん1分以内の提供で、「許容ゾーン」のが5分以内まで、「NGゾーン」のは5分以上経過してもお客様に声掛けもしないとか、オーダーを忘れていたとか。そういう線引きをしておくことで、スタッフにも「ドリンクは早めに出すように」という抽象的な指示ではなくて、「飲み物はオーダーから1分以内、忙しくても5分以内の提供を心掛けてください」と、非常に分かりやすいルールとして伝わります。スタッフと店長の間で「べき」がちゃんと擦り合わせできているかどうかで、職場で怒りが生まれる頻度は変わるはずです。
平賀
一方で、ちゃんと怒らなければいけない時に、上手に叱ることも必要じゃないですか。そこはどうしたらいいんでしょうか?
戸田
6秒待って冷静になった後で、「こうしてほしい」というふうに伝えるのがいいと思います。スタッフへのメッセージは、怒りの言葉ではなく、リクエストの形で伝えるようにするだけで、職場は劇的に変わると思いますよ。
平賀
なるほど。まずは店長が、自分のお店にとって本当に必要な「べき」は何なのかを考え、それをできるだけ具体的な言葉でスタッフにも伝えることが、職場のコミュニケーションを円滑にするカギなんですね。

店長がリードすべき「職場の働き方改革」。後編に続きます。
※後編 ホワイトに直結する「時短」マネジメントとは? らしさラボ伊庭正康さん

本件に関するお問い合わせ先

ツナグ働き方研究所(株式会社ツナグ・ソリューションズ)担当 牧戸(まきと)
Tel:03-3569-2790
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プロフィール

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戸田 久実(とだ くみ)

一般社団法人 日本アンガーマネジメント協会 理事
大学卒業後、民間企業にて営業、社長秘書として勤務。現在は研修講師として民間企業、官公庁の研修・講演の講師の仕事を歴任。対象は新入社員から管理職まで幅広く、テーマに「アンガーマネジメント」「アサーティブコミュニケーション」「クレーム対応」「プレゼンテーション」「インストラクター養成」「女性リーダー育成」など多岐にわたる研修や講演を実施。講師歴は25年。登壇数は3000回を超え、指導人数は10万人に及ぶ。
2008年10月アドット・コミュニケーション株式会社設立。様々な立場で怒りの感情にどのように対処したらいいのか、どのように伝えたらいいのか、または叱り方についての研修の要望や相談を受けることが多い。自分の怒りや他人の怒りに振り回されることなく、自己信頼度を上げ、相互信頼をもとにしたよりよい関係形成のためにもアンガーマネジメントをより多くの方に知っていただきたいと願い活動する。主な著書に『アンガーマネジメント 怒らない伝え方(かんき出版)』。

平賀充記(ひらがあつのり)

ツナグ働き方研究所 所長
1988年リクルートフロムエー(現リクルートジョブズ)に入社。「FromA」「FromA_NAVI」「タウンワーク」「とらばーゆ」「ガテン」などリクルートの主要求人媒体の全国統括編集長を歴任。 2014年株式会社ツナグ・ソリューションズ取締役に就任。2015年ツナグ働き方研究所を設立、所長に就任、今に至る。著書に『非正規って言うな!』『サービス業の正しい働き方改革・アルバイトが辞めない職場の作り方』(クロスメディアマーケティング)がある。